獣害対策敵を知って田畑を守る
獣害対策敵を知って田畑を守る
野生動物による農作物被害の声は、年々多く聞かれますが、「防護柵をするのは大変、そこまでしても動物に食べられることもあるので」、とあきらめている農家の方も多くみられます。とにかく、捕獲をして、野生動物の生息数を減らすことが重要と考えている方も多いと思います。しかし、いくら捕獲をしても、対策をしなければ動物の被害は減りません。
もちろん被害増加の原因のひとつは、野生動物の頭数が増えていることですが、この原因を作っているのは、簡単に食べられる栄養豊富なエサがあり、雑草が繁茂した遊休農地などの隠れ場所があることです。
動物は本来、臆病で、人間は怖い存在です。野生動物を増やさないためにも対策を行いましょう。
対策を成功させるには、動物の習性を理解し、正しい対策を継続してすることが重要です。
今回は、野生動物の習性を理解した上で、対策を理解すると、野生動物に適した対策が実施できると思います。
1 野生動物の習性から
野生動物は、生息環境に今までなかったものを見つけると、警戒し、関心を示します。
獣害対策のネットやトタン、ワイヤーメッシュなどによる柵の場合、動物が最初に狙うのは、地面と柵の隙間です。柵に沿って周囲をまわり、侵入できる隙間がないか探すので、裾を埋めたりピンなどで留めて地面との隙間を作らないことがポイントです。
次に、最も有効な防止対策の電気柵についてですが、その設置の仕方や管理によっては、効果が得られない場合があります。野生動物は、初めて見た時に関心を示し、触れさせて感電することによって、そこが危険であることを認識させることがポイントです。
2 野生動物の種類によって違う電気柵の設置
得意な行動を逆手にとって電気にさわらせます。
【イノシシの場合】
①鼻先で何でもころがしたい性格で、隙間を見つけると鼻先で広げて侵入しようとします。防護柵ネットの裾や、電気柵の雑草対策シートの押さえに、石などを使ってはダメです。
②電気柵の2段張り
【シカの場合】
①シカは本来平坦地に暮らす動物で、エサと隠れ場所があればどこでも暮らせます。
②昼間も夜間も活動します。臆病だから、夜間に活動することが多いだけで、安全であれば昼間も活動します。
③ジャンプするのは最後の手段です。
最初に狙うのは地面との隙間で、また、線だけの電気柵だと、線と線との間に空間があることがわかってしまうと、侵入防止効果が低くなります。電気柵の後ろに防鳥ネットなどを張って空間をなくすと侵入防止効果を高くします。
【アライグマ・ハクビシンの場合】
①5.5cm以上の隙間があるとくぐり抜けます。電気柵の電気に確実に触れさせるには、「楽落くん」のような設置が有効です。
②捕獲のワンポイント
アライグマは、春に出産をするので、4月頃から箱わなを設置すると効果的に捕獲できます。
(注) 野生動物の捕獲には、原則「狩猟免許」が必要ですが、特定外来生物のアライグマは、捕獲従事者養成研修を受講し、従事者登録され、従事者証の発行を受けると捕獲することができます。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。