いちご(とちおとめ)今後の管理について

いちご(とちおとめ)今後の管理について

1 保温開始

表1を参考に、保温開始は腋花房分化後に行うか、頂花房花芽分化30日後をめやすとします。保温開始期が早いと収穫は早まりますが、1次腋花房の分化が遅れて中休み発生の原因となるので注意してください。

【表1】保温開始期めやす
育苗方法 保温開始期
ポット育苗 10/15~10/20
無仮植育苗 10/20~

ビニール被覆後、外気温が高い日中はハウス内が30℃以上にならないよう注意します。また、施設サイドの密閉は、最低夜温10℃をめやすに行いましょう。【表2】参照

【表2】ハウス内の温度管理基準
生育ステージ 昼温 夜温
生育促進期 ~10/下 28℃前後 12℃
出蕾期 11/上 26~27℃ 10℃
開花期 11/中 25℃前後 8~10℃
果実肥大期 11/下 25℃前後 7~10℃
収穫期以降 12/上~ 25℃前後 8℃

2 マルチ

保温開始後は下葉を整理し、蕾を傷めないようマルチを行い地温確保を図ります。

3 心止まり

心止まり株対策として、マルチ前後に発生した太いランナーを3株に1本程度残しておき、腋花房の葉の展開確認後に摘除します。

4 かん水管理

保温開始後、頂花房の出蕾期に入ると新葉のチップバーン・がく焼け果が発生しやすくなるので、やや多めにかん水しましょう。【表3】参照

【表3】かん水管理の目安
保温開始~開花期 開花期~収穫初期 収穫中期以降
5~7日ごと 10~14日ごと 15~20日ごと

5 厳寒期の管理

厳寒期の草勢維持と腋花房の生育促進を図るため、電照の実施及び炭酸ガスの施用が有効です。電照は12月上旬から、炭酸ガス施用は11月中下旬から開始します。

6 うどんこ病対策

うどんこ病の病原菌はカビで、周年にわたりイチゴ植物体上で生活を繰り返します。発病適温は20℃で、9月~11月は発生が多くなるため、以下の対策をしっかり行いましょう。

  1. ハウス被覆前までに防除を徹底します。葉裏に病斑が多くできるので、葉の裏側にまでていねいに薬剤を散布するとともに、薬剤耐性菌が発生しないよう系統の異なる剤を使用しましょう。
  2. ハウス内の空中湿度を抑えるため、全面マルチをしましょう。また下葉かきを行い通風を良くしましょう。
  3. 発病した果実や花房は伝染源となるので、速やかに除去してハウス内に放置しないようにしましょう。

7 ハダニ類対策

高密度になると防除が難しくなるので、早期発見、早期防除に努めます。下葉への寄生が多いので、老化した下葉の除去を行います。
またハダニ対策としての「カブリダニ」利用の方法については、下の表4を参考にしてください。なお、放飼10~7日前にミヤコカブリダニに影響の少ない殺ダニ剤を散布して、ハダニの密度を下げておくと効果的です。

【表4】天敵利用ハダニ防除体系(保温開始以降)
10月下旬 保温開始
11月上旬

天敵放飼 ミヤコカブリダニ「スパイカルEX」1本/10a
※ 放飼後は天敵に影響がない剤を使用する(以下参照)

対象病害虫 農薬名
アブラムシ類 チェス水和剤、ウララDF
ハダニ類 ダニサラバフロアブル、マイトコーネフロアブル、スターマイトフロアブル
ハスモンヨトウ プレオフロアブル、フェニックス顆粒水和剤、トルネードフロアブル
ミカンキイロアザミウマ マッチ乳剤、アタブロン乳剤
うどんこ病 硫黄粒剤(夜間くん煙)※1、カリグリーン、ジーファイン水和剤、バイオトラスト水和剤、タフパール
灰色カビ病 ボトキラー水和剤、エコショット

※1 2~3時間/日

2月上旬 雑草防除 施設周辺の除草で害虫類の発生源を断つ
4月中旬 薬剤防除 アザミウマ、アブラムシ等対象に通常の薬剤防除に切り替える

なお、有機リン剤(ディプテレックス乳剤等)、合成ピレスロイド剤(アディオン乳剤、ロディー乳剤、マブリック水和剤20、アーデント水和剤等)、カーバメート剤(ランネート45DF等)を使用すると、その後約3~5か月間はミヤコカブリダニに影響を及ぼすので、これら農薬をすでに使用している場合、散布した日から放飼するまで3か月以上間隔を空ける必要があります。
※この表は平成23年9月16日現在の登録情報に基づき作成しています。
※農薬を使用する際には、必ず使用農薬のラベルを確認して適正に使用してください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。