水稲の中間管理

水稲の中間管理

5月は高温少雨の傾向でしたが、5月25日発表による関東甲信地方の3か月予報では、「7月は平年よりも曇りや雨の日が多いでしょう。その後8月は、平年と同様に晴れの日が多い見込み。」と発表されています。一方で、近年の夏は真夏日が続くことが多い傾向にあります。品質低下を招く高温の対策等、天候に応じた適正な管理を想定し、安定生産と品質向上を図りましょう。

1 こまめな水管理の徹底

分げつ促進を目的に浅水管理を行ってきましたが、有効分げつ(1株約18~20本の茎数)を確保できたら、中干しを実施します。5月中下旬に田植えした場合、移植後30~35日頃、が目安となります。表1の出穂前日数を目安にする場合は出穂45日前位から開始し、遅くとも出穂35日前には終了するようにします。程度は田面に小ひびが入るくらいで、天候やほ場条件により異なりますが、7~10日程度です。中干しには、茎数過多を防ぐ、根を活性化する、開張型の株になる、秋の機械作業に向けて土壌硬度を確保するなどのねらいがあります。

中干し終了後は、出穂前後の各20日間は湛水、特に出穂前後各1週間は深水とします。それ以外は間断かん水とします。落水は出穂後30日以降に行います(図1)。早期落水は、白未熟粒が発生しやすく、粒張などに著しい悪影響を与えるので注意しましょう。なお、高温時は出穂後7日以降、間断かん水に心がけ、根の活力を維持し、品質低下を抑えます。この時期は特に高温の影響が大きいので、注意しましょう。

気象庁からの異常気象警報に備え、畦畔の点検修繕、深水管理等の実施に備えましょう。台風の通過後に高温・乾燥の風が吹くような天候が予想される場合は深水管理を実施してください。

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表1 品種別田植期別出穂期の目安
  (埼玉県主要農作物奨励品種特性表より)

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図1 中干し後の水管理

2 暑さに負けない施肥について

肥切れは株や根の老化を早めて品質を落としますので、適正な穂肥を実施しましょう。穂肥時期は、幼穂の長さにより診断します。

穂肥は、葉色板により、最長葉(展開葉の第2葉または3葉の中央部)の色を測定し、葉色が低い場合は実施します。(表2)。

ケイ酸質資材は、根の活力、葉の光合成能力を高め、病害虫にも強くなります。もし、田植え前に施用していない場合は出穂前45~35日に、ケイ酸加里を10aに20~40Kg施用しましょう。

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表2 穂肥施用時期の目安

3 病害虫防除

早めに病斑・食害等の発見に努め、初期防除を心がけましょう(表3、表4)。今年もヒメトビウンカのイネ縞葉枯病ウィルス保毒虫率が高く、3月30日に注意報が発表されています。近年縞葉枯病が発生している地域でコシヒカリ、キヌヒカリ等の縞葉枯病抵抗性の無い品種を作付けている場合には本田防除を実施しましょう。

また、補植用取置き苗の早期撤去、畦畔雑草管理等、耕種的防除も積極的に行いましょう。出穂前後各2週間の草刈りは、カメムシ類を水田に追い込み、斑点米の発生を増やすので、避けましょう。

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表3 防除時期の目安

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表4 病害虫防除薬剤例
(記載農薬は平成27年6月8日現在の登録状況に基づいています)

4 難防除雑草対策

本田にまだ雑草がある場合、遅くとも、中干しまでに中・後期剤処理を行いましょう(表5)。

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表5 雑草防除・中後期剤薬剤例
(記載農薬は平成27年6月8日現在の登録状況に基づいています)

「クサネム」はマメ科一年生雑草で、黒色の種子が米粒大のためグレーダーで選別できずに玄米に混入することが問題となっています。水田では、水中でも発芽したクサネムが水面を浮遊し、田面が露出した部分で定着・生育します。

次のような対策を行いましょう。
①ほ場の均平と漏水を防止し、田面を露出させないようにします。
②発生ほ場ではクサネムの種子が成熟する前に抜き取り、ほ場外で処分します。
③除草剤による防除

クサネムの種子は休眠性で、ダラダラと発芽することから除草剤の体系処理(初中期一発剤+茎葉処理剤)が有効です。但し、種子の寿命も長いため、1年で完全に退治ができないことがあります。草丈が大きくなると完全に枯らせないので、散布適期を見逃さないようにします。なお、使用時期は収穫60日前までとなっているものもあり散布時期に注意してください。

農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み使用基準を守るとともに周辺への飛散防止にも注意してください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。