山菜の王様 コゴミの鉢物栽培と遊休農地の活用 〜苗づくりに遊休農地を活用してコゴミの里づくり〜
山菜の王様 コゴミの鉢物栽培と遊休農地の活用 〜苗づくりに遊休農地を活用してコゴミの里づくり〜
1 山菜の王様コゴミ
山菜は春の知らせをとどけてくれる山の恵みです。コゴミ(草ソテツ)はシダ類の仲間で、早春に芽ぶいてきます。山菜の多くがアク抜きが必要ですが、コゴミにはアクがなくそのままおひたしや天ぷらなどに調理できます。くせがなくほのかに甘い味は、山菜の王様とも言われています。
コゴミは山間部の湿地などに自生していますが、年々減少しています。しかしながら、栽培は非常に容易であり、遊休農地などを活用して栽培することが出来、様々な用途に利用できます。
2 コゴミの鉢物栽培
(1)遊休農地を活用した苗づくり
2月下旬頃に畑に親株を植え付けると、4月には芽を出し美しい葉が展開します。また、親株から地下をランナーが数本発生し、その先に子株が芽を出します。子株は大きくなるとやはりランナーを発生し新しい子株を作ります。したがって、1株から年々子株がネズミ算式に増えることになります。
苗づくりの管理はとても楽です。コゴミは乾燥に弱いことから植え付け時に敷きわらをします。植え付けほ場は裸地の遊休農地、果樹園の間作、谷津田ののり面などあまり場所を選びません。植え付けは、株の直径が3~5cm程度の株を畦幅100cm、株間50cm程度とします。植え付け後、雑草に覆われるようになったら、8月上旬頃に雑草とともに葉を草刈りすると、1週間くらいで新芽が発生し、雑草を覆うようになります。
コゴミの増殖模式図(植付3年後の平面図)
植付方法(株の高さの1/3位を地表に出す))
(2)子株の掘りあげと鉢植え
植え付けてから2~4年経過すると、ほ場全体にコゴミが広がります。鉢植え用の子株は、2年生から4年生まで、用途に応じて利用できます。2年生は株の直径が2cm程度ですが、4年生は5cm程度まで成長しています。
鉢植え(孫株の三株寄せ植)
子株の掘りあげは、葉が枯れた後の11月から3月上旬までいつでも出来ます。根をつけて掘りあげ、発生しているランナーは株から取り、長さ7cm位に切って育苗箱などに伏せます。伏せ方は、平らに並べ腐葉土を入れた土を3cm程度かけ、乾かないように管理すれば子株が発生してきます。発生した子株は翌年の早春に移植すれば、新たに増殖を始めます。
子株の鉢植えは腐葉土を入れた用土に植え付けます。保水性と排水性が良い土であれば用土を選びません。株の大きさにより一株植え、三株植えなどにアレンジします。小さい株をミニ盆栽風に仕立ててみるのも面白いと思います。
ミニ盆栽仕立(ひ孫株)
3 コゴミの多目的利用
コゴミはガーデニングの植え込み材料としても使われており、活用場面は色々考えられます。ここでは、山菜としての促成栽培を紹介します。
促成栽培は、株を初冬に掘りあげ、パイプハウスなどを利用して1月から収穫、出荷する栽培法です。温床が必要ですが、自家育成した大きな株を使えば1月から良品が収穫できます。2月からの促成であれば、パイプハウスとトンネルだけでも可能です。
コゴミの促成栽培(ユリ等の黒コンテナ利用)
コゴミを栽培したい方は、JA営農部営農推進課又は、東松山農林振興センター普及部へお問い合わせください。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。