野菜の作付に備えて

野菜の作付に備えて

東松山農林振興センター

日増しに陽射しが強まり、いよいよ春夏野菜の準備に取り掛かる季節となってきました。

野菜は栽培する土に影響を受けますので、農作業が忙しくなる前に畑の準備をしておきましょう。

 

1 作付け計画

自家用や直売用の栽培では、少量多品目の作付けになり、連作になりやすい傾向があります。同じ科に属する野菜は、似たような性質をもち、病気や害虫等が共通することが多いため、同じ仲間の野菜を連作すると生育が悪くなったりします。特にナス科やウリ科、アブラナ科等は、野菜の種類も多いので、どこにどの野菜を作付けするか、種類の違う野菜を組み合わせて、連作を回避するようにしっかりと作付け計画をたてることが大切です。(表1)

 

2 連作障害について

連作障害の主な原因は次のとおりです。(表2)

①土壌病原菌または土壌害虫の加害

根から有機酸等を分泌し、それらは土中の微生物のえさとなります。同じ科の野菜は似た成分を分泌するので、連作をすると、そこに集まる微生物の種類に偏りが生じます。これが結果的に病原菌やセンチュウの増殖につながり、野菜の生育を妨げる結果になります。

②土壌の理化学性の悪化による生理障害

野菜が吸収する養分は、種類ごとに異なるため、連作によって土中の特定の養分が不足し、欠乏症が発生することがあります。

③植物由来の毒素等による生育阻害

植物は根から出る毒性物質が土中に蓄積されて、生育を阻害する場合があります。

 

3 良い土の条件

野菜にとって良い土は、根の生育に適した環境にあり、さらに土中の栄養分を供給してくれるものです。次のような条件を備えた土が望ましいです。

①通気性・排水性がよい

植物の根は、呼吸をすることで土中の養水分を吸収しています。通気性がよい土は根の呼吸がスムーズに行われています。また、通気性が良いことは排水もよい状態です。排水が悪いと降雨等で土中に水が多くなった時、空気が少なくなり、根が窒息状態になり根腐れを起こしやすくなります。

②保水性・保肥力がよい

根は適度な水分が保たれた湿った環境を好みます。土中の水分を吸収し、地上部の葉の蒸散によって失われる水分を補っています。また、水分とともに水に溶けた養分も吸収しています。保水性のよい土は肥料も保持しています。

③適当な酸度である

土が酸性かアルカリ性かによって、根が吸収できる養分が異なります。ほうれんそう等一部の野菜を除いて、多くの野菜はpHが5.5~6.5程度の弱酸性を好みます。

 

4 家畜ふん堆肥の施用

良い土を作るために堆肥の施用があります。堆肥は、養分供給や土の物理性、生物性を改善し、地力の向上を図ることができます。その主な効果は、次のとおりです。

①養分の供給効果

窒素、リン酸、カリの他、カルシウム、マグネシウムや微量要素も含まれ供給されます。ただし、家畜の畜種により、成分特性が異なります。(表3)

②土の物理性改善効果

微生物が堆肥を分解すると腐植が増えて糊の役割を果たし、細かい土同士が結びつきます(団粒化)。土の団粒化により、土の粒々の隙間が多くなって、通気性や排水性が向上します。その結果、根の伸長や養水分の吸収促進が期待されます。

③土の生物性改善効果

堆肥を分解する小動物や微生物の多種多様な生物が増え、土中の生物群のバランスが保たれることにより、害を与える生物の増殖を抑えてくれます。(表4)

 

 

表1 作付け計画(例)

作付け計画(例)

表2 連作によって発生しやすい主な病気

連作によって発生しやすい主な病気

表3 畜種別の堆肥成分(%)

畜種別の堆肥成分(%)

表4 家畜ふん堆肥の特性

家畜ふん堆肥の特性

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。