水稲の刈取り等について
水稲の刈取り等について
東松山農林振興センター
今年も水稲の収穫時期が近づいてきました。終盤の管理もしっかり行い良品多収を目指しましょう。
1 早期落水はしない
出穂期後30日までは、間断かん水を行い根の活力維持に努めましょう。早期落水をすると玄米の充実が悪くなり、乳白米等の増加につながります。用水が早く停止する場合には、停止前に湛水して水を止めて自然落水するなど、土壌水分を維持するようにしましょう。
なお、台風接近時には深水管理とし、台風通過後のフェーン現象が収まってから通常の水管理にもどしましょう。
今年は中干しが不十分で田面が柔らかいなど、なかなか理想的な管理ができていないほ場が多いと思いますが、できる範囲で心がけてください。
2 適期刈取り
刈取りの目安は、各ほ場の出穂期後の積算気温(登熟積算気温)と帯緑色籾の割合で判断します。
適切な登熟積算気温と帯緑色籾割合は、品種や作型ごとに異なります。表1を参考に、自分が栽培している品種に合わせて刈取りを行うようにしましょう。
表1 各品種の刈取り適期の目安
帯緑色籾割合とは、1つの穂の中で、青みがかった籾が残っている割合です。図1を参考にしてください。
図1 帯緑色籾
(帯緑色籾とは緑色を帯びている部分が残っている籾)
なお、近年、高温等の影響で、帯緑色籾割合による収穫適期の判断が難しいケースが散見されます。この場合は登熟積算気温を基準に判断することをおすすめします。刈り遅れは着色米や胴割米の発生を助長し、外観品質を著しく低下させるだけでなく、食味も低下させますので、立毛籾水分が25%以下に低下し、登熟積算気温に達したら、帯緑色籾割合が多少高めでも早めに刈取りましょう。
3 乾燥調製作業
乾燥調製作業にはJAのカントリーエレベーターやライスセンターを活用するケースが多いと思いますが、自分で乾燥調製作業を行う場合には、玄米の仕上げ水分は14.5~15%を目標とし、過乾燥とならないよう注意しましょう。また、胴割米を発生させる恐れがあるので急激な乾燥は避けましょう。
乾燥終了直後の温度が高い状態で籾摺りを行うと、肌ずれ米が生じ、品質の劣化につながります。乾燥後は十分に籾を冷ますようにしましょう。
4 次年度に向けた準備
収穫を終えたほ場は来年度の稲作に向けて準備をしておきましょう。
残ったひこばえはヒメトビウンカの生息場所となり、イネ縞葉枯病の感染株があると、翌年度のウイルス保毒虫を増加させる恐れがあります。
刈株を土中に埋めるように収穫後はできるだけ早く一番耕を行うようにしましょう。
また、稲わらのすき込みは有機物補給の効果が期待できます。
なお、わらの分解や腐熟を進めるには、土壌改良資材を併用することも効果的です。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。