麦の栽培管理について
麦の栽培管理について
冬の間は、気温が低く麦の生育も緩慢ですが、良質麦の安定多収を目指すために必要な管理をする重要な期間です。
麦づくりカレンダー「平成22年まき 埼玉県今月の麦づくり」を参考に適期作業を行いましょう。
1 麦踏み
麦踏みには、(1)分げつ発生促進(2)地上部の生育(伸びすぎ)抑制(3)根の伸長促進(4)倒伏軽減(5)凍上害の防止(6)穂揃いを良くする等の効果があり、収量・品質の向上を図る上で簡単で重要な技術です。
麦の葉が2枚出たら麦踏みができます。麦踏みは10日程度の間隔を空けて、茎立ち前までに3~5回程度実施しましょう。麦踏みローラーには適度なおもりを乗せて、ゆっくりと走行しましょう。【表1】
【表1】麦の生育と栽培管理
2 雑草防除
生育期防除の基本は、「適期適剤」です。雑草の種類と大きさを見て除草効果を高めます。【表2】
【表2】生育期処理除草剤
また、収穫前にカラスムギやネズミムギ(イタリアンライグラス)、カラスノエンドウが見られる場合は、発生数の少ないうちに種子を落とさないよう手取り除草をしましょう。
3 追肥
小麦の収量と加工適性を高めるためには、追肥が重要です。
2月下旬~3月上旬に生育に応じ、窒素成分で10アールあたり1~2㎏施用します。【表3】
【表3】小麦(水田 農林61号)追肥量の目安(10aあたり)
「みどりくんN」を使った簡易土壌診断は施肥量の判定に便利です。実施する場合には各営農経済センターか農林振興センターにお問い合わせください。
4 排水対策
播種時に設置した明きょや排水溝が、麦踏み等によって崩れている場合があります。適時点検し、降った雨がほ場に滞水しないようにしましょう。
湿害の軽減により登熟歩合が高まり、品質(灰分・容積重)・収量の向上が図れます。【表4】
【表4】小麦の品質評価基準
5 赤かび病防除
赤かび病菌は枯草などで越冬し、4月頃から飛散します。開花時に穎花から侵入し、乳熟期にかけて曇雨天が続いたときに発生が助長されます。
赤かび病は、病気による減収よりも、カビが生産する毒素のため、農産物として販売できなくなる恐れがあります
4月下旬~5月上旬の開花期と、その10日後の2回防除すると効果が高まります。【表5】
【表5】ムギ類赤かび病の防除薬剤(例)
記載した農薬については平成22年12月13日現在の登録内容です。
農薬を使用する際には、必ず容器のラベル等を確認して適正に使用してください。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。