小麦「さとのそら」の栽培ポイント
小麦「さとのそら」の栽培ポイント
東松山農林振興センター
「さとのそら」は、短稈、多収で高品質が望める品種です。品種の特性を発揮できるような栽培管理を行い、品質の高い麦生産を目指しましょう。
図1 さとのそら栽培暦
1 排水対策
小麦は、湿害に弱く、湿害が発生すると収量が著しく低下します。湿害を受けないよう排水対策を徹底しましょう。
地表水を除去するため、明渠をほ場周囲とほ場内10m間隔に掘り、排水溝と連結します。
また、補助暗渠として弾丸暗渠を実施する事も効果的です。弾丸暗渠は、本暗渠と直交するよう2~3m間隔に施行します。
2 播 種
○播種適期:11月10~25日
12月以降の遅まきは、減収となり、外観品質も悪くなるため、なるべく11月中に播種しましょう。
○播種量:5~7kg/10a
「さとのそら」は、分げつが旺盛で穂数の確保がしやすいため、厚まきは倒伏を助長し、弱小穂が増加します。
播種時期が遅くなってしまった場合は、穂数を確保するため、播種量を多くします。
○播種深度
発芽、分げつを確保するために、播種深度は2~3cmとします。
3 施 肥
(表1参照)
多収を目指すため、肥料は適正量施します。
①基肥+追肥体系の場合
基肥は、窒素成分で8~10kg/10aとします。
生育後半に窒素吸収量が増加するため、必ず追肥を行い、生育後半まで肥料を切らさないようにします。
追肥は、出穂2週間前の4月上旬に窒素成分で4kg/10aを基本とします。ただし、機械作業等で4月上旬の追肥作業が困難な場合は、茎立ち直前(3月上中旬)に窒素成分で4kg/10aの追肥を行います。
②一発施肥の場合
緩効性肥料を用いた一発施肥では基肥を窒素成分で10~12kg/10aを目安とします。
表1 施肥例
4 麦ふみ
「さとのそら」は短稈で穂数が多いという特性があり、倒伏しにくい品種ですが、凍上害を防ぎ、根張を良くし、しっかりと生育させるために、麦ふみを必ず行います。
麦が3葉期を過ぎたら1回、その後2週間以上の間隔をあけて3回程度行います。早まきや暖冬年では、徒長を抑制するため、回数を増やします。
5 赤かび病防除
「さとのそら」の赤かび病抵抗性は中程度です。赤かび病が発生すると、カビ毒(DON)の生産の危険があり、販売できなくなるので、開花期(出穂後7~10日)に必ず行いましょう。
6 収 穫
「さとのそら」の収穫時期の目安は、出穂後50日頃です。収穫適期は、穂首の周辺の緑色が完全に抜け、2分の1以上の穂がわん曲した頃です。早刈りにならないよう注意しましょう。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。