米麹作りのポイント
米麹作りのポイント
秋に収穫された米や大豆で味噌作りが始まる時期になります。味噌など麹を使った発酵食品はカビや酵母などの微生物の働きを利用したもので、発酵食品は身体の免疫力を高めると言われ、まろやかな味や特有のおいしさも作り出します。
今回は発酵機を利用した米麹づくりのポイントを説明します。毎年麹づくりをしている方も基本を振り返り、作業を確認してみましょう。
1 原料
- 米(精白米) 15kg
- 種麹(米味噌用)15g
★米
米麹には、うるち米を精米したものを使用します。麹を作りやすいのは、粘りの少ない米です。粘りのある米は、蒸した後のほぐれが悪く、ほぐす作業に苦労します。団子状になると麹菌のまわり(繁殖)が悪くなり、良い麹になりにくくなります。
★種麹
市販されている種麹には、米味噌用、麦味噌用、しょう油用、甘酒用など、いろいろな特性をもったものがあります。米麹の場合は米味噌用を使用します。
2 準備
機械や道具は洗浄、乾燥をきちんと行い、雑菌の混入を防ぎます。特に蒸米に触れる布類は蒸気殺菌するとよいでしょう。
3 作り方
麹菌は、適度な温度と湿度、それに酸素が供給されるような条件でよく生育します。これらの条件を上手くコントロールすると良い麹をつくることができます。
★米の水洗と浸漬
米は良く洗い、糠や異物の除去を完全に行います。浸漬の目的は米に適量の水分を吸わせることです。吸水の程度は、米粒を指でつまんでひねると砕けるくらいです。蒸し上がった時、芯が残らないように浸漬は十分行います。米の大きさや水の温度により浸漬時間は変わってきます。冬季で17~24時間、春先や秋口で12~17時間です。
★水切り
吸水した米をザルに上げて、30分くらい十分水切りします。ザルの底に水が残りやすいので、水切り容器のザルが大きい時は気をつけましょう。
★米の蒸煮
蒸気が通りやすいように蒸し器に入れ、蒸気を通します。蒸気が蒸し器の全面を抜け、蒸し器の最上部から強い蒸気が吹き出してから25~35分くらい蒸します。蒸し加減は米粒を指先でひねった時、芯が無くなり、餅状になる程度です。蒸時間は、米の質、吸水加減、蒸気の強さで変わってきますので、米粒をひねって確認してください。
蒸しすぎると、米が水を吸いすぎ、弱い蒸気で蒸すと蒸気が米の中に水分として溜まりべちゃべちゃとした蒸し上がりになり、麹菌をつける作業性が悪くなるので注意しましょう。
★蒸米の冷却
蒸し上がった米を蒸し器から取り出し、塊をほぐし、全体をかき混ぜながら35~40℃に冷やします。
★種付け
種麹が全体に均一に付くよう、蒸米をよくほぐし、種麹を全体に植え付けます。温度が30~40℃の範囲内で行います。温度が低すぎると菌の繁殖が遅くなり、高すぎると菌が死滅するので、温度に気をつけ、素早く行います。種麹が全体に均一になるよう混合撹拌するのがポイントです。
蒸米の一部に種麹を振り、良く揉み込み、種麹が多量についた蒸米を作り、それを全体に振りかけ、全体に揉み込む方法もあります。
種付けを終えたら、発酵機に取り込みます。この時の温度は方式により若干異なりますので、発酵機の取扱い説明書を良く読んで、温度管理をしましょう。
★切り返し
取り込み後、時間が経つと麹菌が繁殖し、全体の温度が上がり始めます。18~20時間ほど経つと米粒のつやがなくなり、麹の香りが漂ってきます。麹の塊をほぐし、全体を撹拌し、発酵機に戻します。時間が経過すると蒸米の表面の粘りがなくなるので、米を一粒一粒にほぐします。
★手入れ
切り返し後、5~6時間したら手入れを行います。麹の塊をほぐすとともに、上下、全体を撹拌し、温度を均一にしながら全体に空気を触れさせ、発酵機に戻します。温度の低い環境で、ゆっくり手入れ作業をすると、麹の温度が下がりすぎ、発酵機に戻しても温度がなかなか上がってこないので、手早く行いましょう。
★出麹
取り込み後、42~45時間で麹ができあがります。発酵機から取り出し、広げて揉みほぐし、放冷します。味噌に仕込む場合は、出麹と同時に煮大豆、食塩と合わせて仕込みます。
良い麹とは、雑菌に犯されていないもの、麹菌が良く繁殖し、菌糸のまわりが良く、色が白いもの、麹としての芳香があり、異臭のないもの、触った時ふっくらした感触のものです。
★麹の保存
麹をすぐに使用できない場合は、食塩と混ぜ合わせ塩切り麹にして2日以内に仕込みます。
また、麹は1週間程度なら、ポリエチレン袋に入れて5℃の冷蔵、数か月なら冷凍で、麹の酵素活性を落とすことなく保存し、使用できます。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。