農業の6次産業化のすすめ ~経営のステップアップによる所得向上を目指して~

農業の6次産業化のすすめ ~経営のステップアップによる所得向上を目指して~

農業の6次産業化とは?

「農業の6次産業化」とは、1990年代半ばに、東京大学名誉教授の今村奈良臣氏が、提唱した取り組みを指す造語です。

農業(1次産業)者自らが、生産した農産物を使い加工や食品製造(2次産業)、流通・販売(3次産業)など全てを行う経営多角化の取組です。

1×2×3=6で6次産業とよばれ、農村資源を活用した商品づくりから販売に至るまでを幅広くとらえた一連の活動により地域の活性化を進めていくものです。

全国では、農業経営の安定化に向け、こだわりを持ったオンリーワンの商品づくりや販売など、色々な取組が行われています。

比企地域では、昭和61年頃から各地区に直売所が設置され、農産物のほかに販売する商品として、地域農産物を活用した加工品づくりの取組が行われてきました。特に味噌やまんじゅう、漬物などの製造・販売は、各地域の女性グループを中心に活動が展開され、直売所の売上向上に大きく貢献してきました。

6次産業化は、それらの活動を一歩進め、事業者としてさらに発展することをねらっています。

農産物や地域資源を有効に活用し、農林漁業者(1次産業従事者)がこれまでの原材料供給者としてだけではなく、連携も深めて加工・製造(2次産業)と流通・販売 (3次産業)に積極的に係わり、事業者として成長し、農山漁村の雇用確保や所得向上につながっていくことが期待されています。

6次産業化の取組で、商品開発を行い、販売が始まった新商品写真を例として掲載しますのでご覧ください。

皆さんも、日頃から考えている構想を活かして、「農業経営の安定化」と「農業を楽しくする」という視点で、農産物や地域資源を活用した6次産業化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

汁なしネバまぜうどん
事例1 鳩山町 美味の会の「汁なしネバまぜうどん」。鳩豆工房旬の花で提供する夏季限定メニュー。
女子栄養大学と連携し共同開発。

梨パウンドケーキ
事例2 東松山市 新規参入し梨農家になった千葉有美子さんの「梨パウンドケーキ」。
市内の茶商と川越の菓子製造事業者と連携して商品化。

小川小公子ワイン
事例3 小川町 (株)武蔵ワイナリーの「小川小公子ワイン」。
現在は県外業者へ委託醸造。平成30年ワイナリー建設予定。

取り組むためのステップ

6次産業化に取り組むためには、まず、事業者(経営者)として、日頃感じている改善のヒントや自ら思い描く構想を絞り込み、具体的なプランを形作り、収支予測による資金計画も含めて事業の計画を立てることが必要です。

①考え方の整理

まず、生産者から事業者へと頭を切り換えることが必要で、提供する商品への責任も意識して取り組むことが大切です。

②視点の整理

6次産業化の事業に取り組む場合は、消費者が何を求めているのかという視点を持つことが重要です。「農業者の視点」、「お客様の視点」、「女性の視点」、「地域の視点」など多角的な視点に留意して、商品開発や伝え方を考え、事業を進めていきましょう。

③取組手法の選択

取組の手法には、農業者がすべて取り組みを実施する単独型と、農業者が2次・3次産業者と連携して実施する連携型があります。(図1参照)

図1 6次産業化の取組手法
6次産業化の取組手法

事業の内容や目指す方向性に合わせて取組の手法を選び、計画づくりや準備を進めてください。

特に連携型においては、どの部分を連携して行うのか、信頼できるパートナー探しが成功の鍵にもなります。

④事業の計画づくり

次に具体的な計画づくりを行います。

経営者が事業計画を考える時には、「ヒト・モノ・カネ」が大切だと言われています。

まず、自分(経営)の現状分析を行い、「強み」や「弱み」、経営資源などについてリストアップし、「ヒト・モノ・カネ」の3点について冷静に判断・整理を行いましょう。

新たに作る6次産業化商品を、「どのような人に」、「どこで」、「いくらで」、「どれくらい」売りたいのかを具体化することが大事なことになります。

5年後、10年後の目標や姿を描き、行動のプランづくりを進めます。難しく考えずに、まずは思いつくイメージやキーワードなどを書き出してみることから始め、徐々に考えを整理していき事業プランを具体化していきましょう。

そして、事業を行うために、必要な物や知識、準備事項などを明確にして、事業の内容、具体的な計画、マネープランを盛り込んだ事業計画書を作成して計画を実行に移していきます。

取組に対する支援

農業の6次産業化は、農業農村を取り巻く厳しい状況を打開する取り組みとして期待されており、色々な事業や支援策が実施されています。

比企郡内の市町村や農協においても、地域の特産物を使った6次産業化の取組を広げ、農業者皆さんの所得向上や地域活性化につなげるために取組を進めています。事業として取組を考えている方は、まず、お住いの市町村や農協へ相談してみてください。

埼玉県では、国等と連携して次のような6次産業化支援を実施しています。

①個別相談会・研修会等の開催

県6次産業化サポートセンターから、商品開発・マーケティングのノウハウなど専門的な知見を持つ6次産業化プランナーを派遣し、取り組みについての個別相談や事業計画づくりの支援を行っています。

また、農業の6次産業化に係る知識を広く周知するため、経営実務研修会や商工業者の方との交流のためのネットワークミーティングなども開催しています。

②補助事業

国の総合化事業計画認定を受けることが必要となりますが、新商品開発・販路開拓等に対する補助(補助率1/3以内)、取り組みに必要な加工・販売施設の整備に対する補助(補助率3/10以内)などを受けられる可能性があります。

③融資

認定農業者の方や6次産業化・地産地消法の認定者に対しては、農業改良資金(無利子資金)等の貸付が可能となります。

④出資を受けられる可能性

6次産業化を新たに取り組むために設立する6次産業化事業体の資本金の1/2以内で、農林漁業成長産業化ファンドから出資を受けられる可能性があります。

これら、農業の6次産業化に関しての情報や詳しい支援の内容をお知りになりたい方は、東松山農林振興センターまでお問い合わせください。
TEL 0493-23-8582
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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。