いちじくの栽培について(桝井ドーフィンの一文字仕立て)
いちじくの栽培について(桝井ドーフィンの一文字仕立て)
いちじくは、独特の食感と熟した甘みが魅力の果物で、初心者にも育てやすいため、近年、栽培される方が増えています。平成22年3月号で「植付け~1年目の管理」、平成23年3月号で「2年目以降の管理」を説明したので、今回は、「植付け後3年目以降の管理」についてご説明します。
※過去の記事は、JA埼玉中央ホームページで見ることができます。
1 せん定
月中旬、防寒のために主枝に巻き付けていた稲ワラを取り除きます。取り除いた稲ワラは株元に敷き詰めておくと良いでしょう。
その後、前年(植付け2年目)に伸ばした結果枝を切り戻します。切り戻す位置は、結果枝の基部から2芽(2節)と3芽(3節)の間が基本です。その際、3芽(3節)の少し下の部分を切るのがポイントです。【図1】
切り戻した後は、切り口に癒合促進剤を塗布し、枯れ込みを予防しましょう。
主枝を延長する場合
主枝を延長するため、2年目に主枝先端の結果枝を斜め上方(45度)へ誘引した場合は、せん定と同時期(3月中旬)に水平に誘引します。【図1】
誘引方法は2年目春に行った方法と同じです。一度に倒すと、枝が裂けたり折れることがあるので、2週間程度かけ、何回かに分けて徐々に誘引します。誘引後は、必要な部分を残して切り戻します。
【図1】せん定の方法
2 芽かき
月になると、切り戻した前年の結果枝の基部付近から、新芽が発生します。たくさん発生する新芽の中から、今年の結果枝とする芽を選びます(その他は除去します)。
作業は下記の(1)~(4)に留意して行いましょう(1)芽が3~4葉になったら行う、(2)片側40cmに1芽を残す、(3)「横芽」や「やや下芽」を残すのが基本、(4)遅れて伸びる芽もあるので、2~3回巡回して実施することがポイントです。【図2-1】【図2-2】
作業適期(芽の大きさ等)については、実際の写真【写真1】も参考にしてください。
【図2-1】片側40㎝間隔に芽を残す (芽が【写真1】のようになった頃行う)
【図2-2】芽かきの考え方
【写真1】芽かきの時に「残す芽」「取る芽」
3 枝の管理
6月頃、結果枝が伸長したら、2年目と同様に水平のパイプに誘引します。片側の結果枝どおしの間隔は40cm程度とします。その後、結果枝の伸長に合わせて、垂直に誘引します。【図3】
結果枝は18~20節(1葉につき1節)になったら、成長点付近を摘芯します。
【図3】誘引の方法と結果枝の間隔
4 収穫
当地域で一般的に栽培されている品種「桝井ドーフィン」は、収穫時期が8月下旬~10月下旬です。着果から収穫までは80~90日間で、果実が下向きになり、表面が緑色から赤紫色に変化し、果肉が柔らかくなったものから収穫します。いちじくは収穫適期の判断が難しいので、試し穫りをして熟度の確認を行うと良いでしょう。
5 施肥・水管理等
2~3年生の株と4年生以上の株では施肥量が異なります。【表1】
高温・乾燥となり、果実肥大が遅れたり、葉が萎れ気味になった場合は、適宜かん水を行います。また、長雨や大雨などによりほ場に水がたまった場合には、速やかに排水し、根が湿害を受けないようにしましょう。
【表1】いちじくの施肥体系
2~3年生の場合 | 4年生以上の場合 | |
元肥 | ・3月上旬~中旬に施用 ・有機質肥料を使用 ・窒素成分で10aあたり4~5kg |
・3月上旬~中旬に施用 ・有機質肥料を使用 ・窒素成分で10aあたり8~10kg |
追肥 | ・5月中旬と7月の2回程度施用 ・有機質肥料を使用 ・1回につき窒素成分で10aあたり2kg |
・5月中旬~9月上旬の間に2~3回程度施用 ・有機質肥料を使用 ・1回につき窒素成分で10aあたり2kg |
土壌改良 | ・12月に施用 ・苦土石灰を使用 ・10aあたり60~100kg |
・12月に施用 ・苦土石灰を使用 ・10aあたり60~100kg |
※注:肥料は畦と通路にまき、その後の耕耘は行いません。(根を痛めてしまうため)
6 収穫後の管理
収穫後、葉は黄色くなり次第に枯れてきますが、途中で葉かきはせず、11月下旬までは自然に落葉するのを待つようにします。
月上旬には、苦土石灰を施用するとともに、防寒対策として、稲ワラを主幹と主枝に約5cmの厚さで巻きましょう。(垂直に誘引した結果枝には巻きません)稲ワラは翌年の3月中旬まで、巻いたままにします。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。