水稲の収穫について

水稲の収穫について

東松山農林振興センター

 

気象庁が令和6年8月20日に発表した「向こう3か月の天候の見通し」によると、平均気温が高い見込みが60%です。

気温が高いと水稲の登熟が早く進行し、刈り遅れ等による品質低下が懸念されます。

終盤の管理もしっかり行い、品質の良い米の収穫を目指しましょう。

 

暑さに負けない米づくり

出穂後20日間の日平均気温が27℃を超えると白未熟粒歩合が急激に増加するといわれています。

水稲栽培後半での対策は、①根の活力を維持する水管理、②適期収穫です。

基本技術をしっかり実践することで暑さに負けない米づくりを行いましょう。

 

なお、適正な栄養状態の維持も大切なポイントです。出穂期に葉色が淡くなりすぎていると、籾に送るでんぷんが不足します。

今年の施肥量と葉色の状態はどうでしたか?今年の状況を記録し、来年に向けて施肥量を考えてみましょう。

 

1 根の活力を維持する水管理

 

出穂期前後1週間は深水管理とし、その後は湛水と断水を3~4日で繰り返す間断かん水を行い、根の活力維持に努めましょう(図1)。

 

早期落水をすると玄米の充実が悪くなり、乳白米等の増加につながります。

少なくとも出穂後30日経過するまでは完全落水しないようにしましょう。

 

用水が早く停止する場合には、停止前に湛水して水を止めて自然落水するなど、

なるべく土壌水分を維持するようにしましょう。

 

なお、台風接近時には深水管理とし、台風通過後の高温が収まってから通常の水管理に戻しましょう。

 

2 適期刈取り

 

適期刈取りの目安は、各ほ場の出穂期からの積算気温(登熟積算気温)と帯緑色籾割合で判断します。

適切な登熟積算気温と帯緑色籾割合は、品種や作型ごとに異なります。表1を参考に、自分が栽培している品種に合わせて刈取りを行いましょう。

帯緑色籾割合とは、1つの穂の中で、青みがかった籾が残っている割合です(図2)。

 

なお、近年、高温等の影響で、帯緑色籾割合による収穫適期の判断が難しいケースが見られます。

この場合は登熟積算気温を基準に判断することをおすすめします。

刈り遅れは着色米や胴割米の発生を助長し、外観品質や食味を低下させます。

籾水分が25%以下で、登熟積算気温が目安に達したら、帯緑色籾割合が多少高めでも早めに刈取りましょう。

 

乾燥調製作業

玄米の仕上げ水分は14.5~15%を目標とし、過乾燥とならないよう注意しましょう。

また、胴割米を発生させる恐れがあるので急激な乾燥は避けましょう。

 

乾燥終了直後の温度が高い状態で籾摺りを行うと、肌ずれ米が生じ、品質の劣化につながります。

乾燥後は十分に籾を冷ますようにしましょう。

 

次年度に向けた準備

収穫を終えたほ場は来年度の稲作に向けて準備をしておきましょう。

 

残ったひこばえはヒメトビウンカの生息場所となり、イネ縞葉枯病の感染株があると、翌年度のウイルス保毒虫を増加させる恐れがあります。

 

刈株を土中に埋めるように収穫後はできるだけ早く一番耕を行うようにしましょう。

地温が15℃以上あるような時期に早めにすき込むことで稲わらや刈り株の分解が進み、田植え後のガス害が起こりにくくなります。

 

また、稲わらのすき込みは有機物補給の効果が期待できます。わらの分解や腐熟を進めるには、土壌改良資材を併用することも効果的です。


 

 

 
 

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。