春野菜の作付時期が近づいてきました。春野菜は低温条件下で種まきや植付けが行われます。凍霜害などの気象災害を受けやすい時期でもあり、発芽や活着、生育に支障をきたす場合が少なくありません。栽培のポイントは、「十分な土づくり」、「簡易被覆資材（トンネルやマルチ等）の有効活用」、「計画的なは種」の3つ上げられます。
次のような基本的な作業を行い、野菜の作付け準備を行いましょう。

１　土づくり

野菜畑の土づくりは、（1）根張りを良くするための土壌物理性の改善、（2）根を活性化するための微生物相の改善、（3）作物の生育を促すための養分供給の適正化、の3点を念頭に置いて実施します。
作付け前に土壌診断を行い、堆肥等の有機質資材の特性にあった利用により土壌改善を図るとともに、施肥量を適正にすることが大切です。

（1）家畜ふんの特性

家畜ふんの特性は、その種類によって大きく異なります。

ア、牛ふん

分解が緩やかで、肥効も緩効的ですが、養分含有量は少なく、有機物が土壌中に残ります。

イ、鶏ふん

分解が早く、比較的速効性です。また、養分含有率が高い上、土壌中に有機物があまり残らないので、有機質肥料と考えるのが妥当です。

ウ、豚ぷん

鶏ふんと牛ふんの中間的な性質を示しますが、養分含有量が比較的多いので有機質肥料に近いものとして扱ってください。
家畜ふんの施用基準量は、表1を参考にしてください。なお、十分に腐熟させてから施用することが必要です。

【表1】堆肥等の標準的な施用量（単位：t/10a）

（農林水産省2008）

（2）堆きゅう肥を施用した場合の施肥量

堆肥の有効成分量【表2】は、畜種によって異なりますので、これを目安に減肥します。窒素施用量の30～60％（牛ふん：30％、豚ぷん・鶏ふん：60％）を家畜ふんや堆きゅう肥で施用し、残りは化学肥料や有機質肥料で施用するのが良いでしょう。（例）牛ふん1t施用すると窒素成分では2.2kgになります。

【表2】家畜ふん堆肥の有効成分量（％）

（神奈川県平成21 年度作物別施肥基準により作成）

２　簡易被覆資材

露地野菜栽培では、トンネルやマルチ等を活用しましょう。これらの資材を組み合わせ、地温の確保や凍霜害防止を行い、高品質･安定生産を行いましょう。特に、寒波の襲来や霜に対しては、べたがけ資材を活用すると被害が軽減できます。

（1）種類

ア　マルチ

地温の上昇、雑草防除、水分保持、肥料養分の流亡防止、土の跳ね上がりによる病害の発生防止等が目的です。
上手に張るポイントは、土壌水分がある無風の晴天日を選び、できるだけ気温の高い時間帯に、ベットを丁寧にならして土とマルチを密着させる（バタツキがあるとマルチ効果が落ちるほか、作物に障害を与えることがある）ことです。

イ　トンネル・べたがけ

保温による作期の拡大、風よけが目的で、その他の効果も期待できます。

※寒冷紗等による侵入防止
○防虫ネットをハウスの開口部に張ったり、ベットへのトンネルがけを行い、害虫侵入を防止します。

（2）使用方法

マルチ栽培、べたがけ栽培、トンネル栽培の順に地温上昇及び保温効果が高くなり生育は安定しますが、経費は高くなります。被覆資材を上手に活用しましょう。