『BCP』って御存知ですか?
『BCP』って御存知ですか?
東松山農林振興センター
【プロローグ】
「お父さん、台風!うちの前の道、水浸しぃ‼」
「あああっ、ひどいなぁ。これはまずいぞ。コンバインも水に浸かっちゃうぞ。」
「コンバインが壊れちゃったら来月の刈り取りどうするの!」
「今から車庫へ行ってくる‼」
「いやもう道は川だから。避難勧告も出ているし、危ないから、絶対やめて!。」
強い台風が来るとは聞いていたけど、まさかこんなことになるなんて・・・今年の収穫、いったいどうなっちまうんだろう・・・。
農業経営は、天候だけでなく、政治や経済、作業中の事故など大小様々なリスクにさらされます。そうしたリスクを事前に洗い出しておき、いざという時にどんな対応をしたらよいか計画を立てておく、というのがBCPです。
たとえばこの台風リスクに対し、どういった計画が必要でしょうか?
1 自宅や圃場の浸水リスクや、いざという時の避難路を地元自治体の作成している洪水ハザードマップで確認する。
2 自治体から発せられる警戒レベルに応じて、どんな準備を行うか決めておく。
3 移動可能な農業機械をリストアップし、自分の経営の中で重要なものを順位付けする。また、近隣の高台など、その機械の避難候補地を決めておく。必要であれば、地主の了承も得ておく。そして、だれがどの機械を担当するかまで決めておくと、さらに良いでしょう。
4 事前に決めた警戒レベルに達してしまったら、機械の避難を『あらかじめ決めた順』に従って開始する。
5 どうしようもない場合に備え、機械類を保証する保険に入っておき、決して自分の身を危険にさらすことはしない。
6 修理・買い替え、リースなどについて対応できるサービスの連絡先を控えておき、被災後に速やかに対応してもらう。一緒に被災してしまう地域だと、サービスが受けられない可能性があることに注意が必要です。
こうしたことをあらかじめ計画しておくと、いざという時に慌てずに済むうえ、被災後も速やかに経営の回復が見込めます。
【BCPとは】
事業継続計画(BCP:Business Continuity Planの略)のことで、自然災害などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核事業継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などをあらかじめ取り決めておく計画のことです。
【策定方法】
・簡易な方法
農林水産省が公表している『農業版BCP』を参考に作成しましょう。下のQRコードから、埼玉県農業支援課のホームページにアクセスしていただくと、必要なデータが掲載されています。当該ページでは、県内で策定されたBCPモデルも公表していますので、参考にしてください。
また、紙の資料が必要な方は、東松山農林振興センターまでお問い合わせください。
「農業版BCPパンフレット」
【専門家の活用】
・詳細な計画を策定
せっかく作るなら、詳細に作っておこう、という方もいらっしゃると思います。県では、そうした課題に対応できる専門家を派遣することもできます。
事前に東松山農林振興センターの職員がお伺いし、課題を整理した後、専門家の支援が必要と判断された場合、中小企業診断士の支援を無料で受けられます。この場合、相当程度の時間と労力が必要となりますが、経営の危機管理という意味では、十分有意義な計画を策定することができるはずです。
【最後に】
平常時の危機管理はGAP、非常事態に対する危機管理はBCP。これから農業経営を長く続けていこうとする場合、どちらも大変重要な取組です。
「長く農業してきたけど、そんなものは必要じゃ無かった」という声も聞かれます。しかし、これからも大丈夫かどうかは誰にも分かりません。これからの経営リスクを低減させるためにも、GAPとBCPに積極的に取り組みましょう。東松山農林振興センターは、そのお手伝いをさせていただきます。
「中小企業診断士によるBCP策定支援」
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。