大豆栽培管理

大豆栽培管理

本年もまた、大豆栽培が始まります。次のことがらに注意して、実り多き秋を迎えてください。

1 ほ場の選定

大豆は、連作障害と生育初期の湿害、そして開花期の干ばつに弱い作物です。
年以上同じほ場に連作すると収量は大幅に低下しますので、水稲や他の作物との計画的な輪作が必要です。
地表水が24時間以上滞水すると、生育初期では立枯れによる欠株や雑草害、子実肥大期では収量、品質が低下します。は種期から生育初期にかけては、特に湿害に弱いため、排水の良いほ場を選びましょう。
また、開花期には、高温・乾燥で花や莢が落ち、減収となることがあるので、畦間にかん水できるほ場を選定することを推奨します。

2 ほ場の準備

(1)排水対策

排水溝を整備し、暗きょ排水や弾丸暗きょ、サブソイラー等による心土破砕を行い、降雨後、速やかに排水ができるようにしましょう。

(2)耕起・整地

砕土の基本は、下層を荒く、表層を細かくすることです。発芽、苗立ちが向上し、除草剤の効果も安定します。ただし、粘土質土壌の場合は、は種後の降雨により酸欠とならないよう、やや粗めに砕土してください。

(3)土づくり・施肥

麦稈をすき込む場合は、コンバインカッターで8cm程度に切断して均一にばらまき、ていねいにすき込みましょう。特に、粘土質土壌の場合、わらや堆肥等の有機質資材を毎年投入し、土壌の膨軟化に努めましょう。
生育期になると根に根粒菌が着生し、これが窒素を大豆に供給するようになるので、過度の肥料は必要としません。しかし、初期生育を促進する上で基肥はとても重要です。窒素成分で2~3kg/10aを目安として施肥し、地力の高低により施用量を加減してください。麦稈すき込みの場合は窒素成分で1~2kg/10a増肥し、わらの分解を早めましょう。

3 種子消毒

種子は粒揃いが良く病害虫に侵されていないものを選ぶとともに、紫斑病などの予防のため、種子消毒を行ってください。

【表1】種子消毒の薬剤・方法
薬剤名 対象病害虫 使用時期 使用回数 希釈倍率 使用方法
ベンレートT
水和剤20
紫斑病 は種前 1回 乾燥種子重量の0.2~0.4% 種子粉衣
キヒゲンR-2
フロアブル
紫斑病、苗立枯病
タネバエ、ハト*、カラス*
は種前 1回 乾燥種子1kg
当り原液20ml
塗沫処理

※豆類(種実)で登録

4 は種

タチナガハ、エンレイは6月末までに、在来品種などの晩生品種は7月上旬を目安には種します。早播きすると茎が太くなり、収穫時に茎水分が低下しにくく、コンバイン収穫では汚粒の原因となるので避けましょう。は種が遅れた場合は株間を狭め、は種量を増やします。

5 雑草防除

以下の表を参考に、雑草の種類や防除時期に注意して薬剤を選定し、防除に努めてください。

【表2】除草剤の使用方法(例)
  薬剤名 使用時期 適用雑草名 使用量(薬量) 使用回数
土壌処理剤 ロロックス は種直後~出芽前 一年生雑草 100~200g/10a 1回
ラッソー乳剤 は種後出芽前 一年生雑草 300~600ml/10a 1回
トレファノサイド乳剤 は種後発芽前 一年生雑草
(ツユクサ、カヤツリグサ、キク・アブラナ科を除く)
200~300ml/10a 2回以内
茎葉処理剤 ナブ乳剤 雑草生育期(イネ科雑草3~5葉期)(但し、収穫60日前まで) 一年生イネ科雑草
(スズメノカタビラを除く)
150~200ml/10a 1回
ワンサイドP乳剤 雑草生育期(イネ科雑草3~5葉期)(但し、収穫60日前まで) 一年生イネ科雑草
(スズメノカタビラを除く)
75~100ml/10a 1回

6 中耕・培土

中耕・培土は雑草防除と倒伏防止、排水対策を兼ねて実施します。
コンバイン収穫の場合は、汚粒の原因となるので、培土高を10cm程度とします。

【表3】中耕・培土の時期・方法
第1回目 は種20~25日後
(本葉2~3葉頃)
ロータリーで子葉の上まで飛散させる
第2回目 は種30~35日後
(本葉4~5葉頃)
培土板を装着し初生葉の上までかける

7 病害虫防除

病害虫の防除は、発生状況に応じて適切に行ってください。
莢にしっかりと薬液がかかるように防除しましょう。

【表4】大豆の薬剤防除(例)
  薬剤名 病害虫名 希釈倍数・使用量 使用時期 使用回数
第1回 ダイシストン粒剤 アブラムシ類 3~6kg/10a 収穫60日前まで 1回
第2回
(8月中旬)
バイジット乳剤 ダイズサヤタマバエ 1000~1500倍 収穫45日前まで 3回以内
第3回
(8月下旬)
スミチオン乳剤
   +
トップジンM水和剤
カメムシ類
シロイチモジマダラメイガ
1000倍 収穫21日前まで 4回以内
紫斑病 1000~1500倍 収穫14日前まで 4回以内
第4回
(9月上旬)
トレボン乳剤 カメムシ類
シロイチモジマダラメイガ
ハスモンヨトウ
1000倍 収穫14日前まで 2回以内
【表5】ハスモンヨトウの発生が多い場合(8月下旬~9月中旬)
薬剤名 希釈倍数・使用量 使用時期 使用回数
フェニックス顆粒水和剤 2000倍 収穫7日前まで 3回以内
プレオフロアブル 1000~2000倍 収穫7日前まで 2回以内

8 収穫

豆刈機収穫では、大豆の成熟期(莢の大部分が変色し、振ると音のする時期)に収穫し、5日程度島立で自然乾燥させた後、脱穀してください。
コンバイン収穫では、汚粒の原因となる青立株や雑草を事前に抜き取ります。
汚粒軽減のため、茎が「ポキッ」と折れる程度に乾燥してから、一般的には午前10時以降に収穫してください。

標記の農薬の登録情報は平成23年5月1日現在のものです。
農薬の使用に際しては、ラベルを良く読み、使用基準を守ると共に、周辺への飛散防止にも注意してください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。