直売向け切花の栽培
直売向け切花の栽培
東松山農林振興センター
直売所の主力商品は新鮮野菜ですが、切花も新鮮で日持ちがする人気商品の一つです。お盆やお彼岸、お正月には、特に切花の需要が集中します。
また、色々な花を組み合わせて、年間を通して花を出荷できるようになると、花の栽培もおもしろくなります。
今回は、露地栽培で、お盆と秋の彼岸の代表選手、アスターとケイトウの栽培を紹介します。
1 アスターの栽培
アスターは、浅根性で乾燥や過湿に弱いので、耕土が深く腐食に富んだ排水のよい土壌を好みます。また、連作を嫌うので4~5年開けるか、土壌消毒を徹底する必要があります。
品種は、お盆出しの定番品種松本系、ポンポン咲のあずみ系、アレンジメント用に適する小輪半八重咲のステラ系などがあります。
土壌のpHは6~6.5の弱酸性を好み、酸性が強いと土壌病害が発生しやすくなります。
発芽適温は15~20℃、生育適温は10~25℃です。
(1)種まき・育苗
出荷時期に合わせて、数回に分けて播種します。(図1)発芽適温より気温の低い3月は、ハウスかトンネル内で播種します。発芽後は、トンネル内温度が25℃を超えないよう温度管理に気を付けて下さい。
定植時の植え傷みを防ぐためにも、セルトレーに播種専用培土での育苗を勧めます。本葉4~6枚(20~30日間)頃が定植時期となります。
なお、5月中旬播きでは、長日と高温で開花が早まるので、直まきで、少しでも草丈を取る方法もあります。
(2)施肥
1a当たり窒素成分量で1~1.5kgが目安です。pH6以下の場合は、苦土石灰1a当たり5~10kgを施用。窒素過多になると茎が軟弱になるので、土壌中に肥料成分が多く残っているときは1~2割減らします。
(3)定植
定植間隔は、株間条間ともに15~20cm程度。ベットを作って5~8条植え、または、うね幅90cmの2条植えとします。
切花が曲がらないように、フラワーネット等を使用し、雑草対策に穴あきマルチの利用も便利です。
【例】9515のマルチと、15cm目合いの5目ネットに、1マスに1本植え。(図3)
(4)収穫
3~4輪開花した頃が収穫適期。水に浸かる下葉は取って、しっかり水揚げをします。
(5)主な病害虫
土壌病害の萎凋病は、酸性土壌で発生しやすいので注意して下さい。対策としては、連作を避ける、発生したほ場は土壌消毒をする、萎凋病に強い品種(松本系、あずみ系など)を選ぶなどです。
葉茎に発生する斑点病は、雨が多いと多発するので、ダコニール1000などで予防散布を行います。
また、アブラムシ類、ハモグリバエ類、ハダニ類、ヨトウムシ類、茎に侵入するメイガ類などの害虫が発生しやすいので、発生初期の防除を行います。
2 ケイトウの栽培
ケイトウは、栽培は比較的容易ですが、窒素分が多い土壌だと、茎が太く・扁平になったり、花冠の形がくずれることがあります。栽培のポイントは、カリウムを効かせ、茎のしっかりした切花をつくることです。
品種は、トサカ系、フサ系の八千代、ノゲイトウ系と多数の品種があります。お盆や彼岸の主流は、トサカ系の緋赤色の、紅貴、サカタプライド、かがやき、桃色のアーリーローズなどです。
発芽適温は25℃前後の高温を必要とし、発芽日数は5~7日、生育適温15~30℃です。
(1)種まき・育苗
出荷時期に合わせて、数回に分けて播種(図2)します。5月まではハウス内等で、発芽温度を確保し、200~288穴セルトレーに2~3粒まきして1本に間引きます。2本で育苗し15cm×15cmに定植する方法もあります。本葉3~4枚頃が定植適期になります。
気温が高くなる6月からは、直まきができます。
(2)施肥
吸肥力が強いので、基本は無肥料で、生育の状況を見て追肥で調整します。また、茎のしっかりした切花をつくるには、けい酸加里肥料、1a当たり4kg位を基肥で施用するとよいです。
(3)栽植密度
定植間隔は、株間条間ともに10cm×10cm程度で、5~8条植えとします。
直まきでは、うね幅90cmに2条まきし、株間10cm位に間引きます。
切花が曲がらないように、フラワーネット等を使用し、雑草対策には、穴あきマルチの利用も便利です。
【例】9515のマルチと、15cm目合いの5目ネットに、1マスに2本植え。(図3)
(4)収穫
早切りは水揚げ、花持ちが悪くなるので要注意です。花首(茎)が硬くなってからが収穫適期です。トサカ系ケイトウは、収穫時期を遅らせ、花冠を大きくした切花もおもしろいです。
(5)主な病害虫
立枯病や疫病の対策は、連作を避け、定植期または生育期のユニフォーム粒剤などの薬剤防除を行います。
ヨトウムシ類、アブラムシ類、ハダニ類などの害虫が発生しやすいので、発生初期に防除を行います。
農薬を使用する際には、必ず使用農薬のラベルを確認して適正に使用してください。
令和元年12月18日現在の登録状況
図1 アスター栽培
図2 ケイトウ栽培
図3 フラワーネットとマルチの利用
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。