確認しよう 農薬の使い方
確認しよう 農薬の使い方
東松山農林振興センター
農薬は、病害虫から作物を守るために、大変便利なものです。
しかし、不適切な使い方をすると農産物から基準値を超える農薬成分が検出されたり、病害虫に耐性がついて効果が低下するなどの問題が出てきてしまいます。
そこで、農薬の使い方について再確認してみましょう。
1 農薬のラベル
農薬のラベルには、農薬散布において守るべき事項が書かれています。
表の農薬ラベル例を見ながら、確認してみましょう!
(1)農薬の成分と使用回数
農薬のラベルには、農薬の成分が書いてあります。農薬名が違っても成分が同じ場合や、一つの農薬に複数の成分が含まれる場合もあります。
ラベルには「本剤の使用回数=その農薬の使用できる回数」と、「●●を含む農薬の総使用回数=成分●●を含む農薬が使用できる回数」の欄があります。
農薬を使用する際は成分を確認し、その成分の使用回数を超えないよう注意してください。
(2)希釈倍率・使用(液)量
希釈倍率や散布量は、基準を守って使用しましょう。
規定よりも濃かったり、散布量が多いと、農薬残留につながることがあります。
また、薄かったり、散布量が少ないと、病害虫に対する効果が不足する可能性があります。
(3)使用時期
収穫何日前までその農薬を使用できるかという事項です。
収穫日を想定し、いつまで散布できるかを確認してください。
農薬によっては収穫の前日まで使用可能なものもありますが「前日」は「24時間前」となります。
(4)RACコード
薬剤耐性をもった病害虫を発生させないためには、系統の異なる農薬をローテーションして使うことが有効です。
しかしながら、成分が異なっていても、病害虫への作用の仕組みが同じ農薬があります。
これらの系統を見分けるために農薬工業会は各農薬にRACコード(農薬の作用機構分類)という記号・番号を付与し、分類しています。
同一のRACコードの農薬は、病害虫への作用も同じですので、これらを連続して使用すると、病害虫が耐性を持ちやすくなってしまいます。
RACコードは、農薬工業会のホームページ(下記)などにある「RACコード(農薬の作用機構分類)」で確認できます(ラベルに記載のある農薬もあります)。
2 散布の方法
病害虫は葉裏や芯葉、株元など散布し難い所にも生息しています。このような所にも薬剤が十分にかかるよう、しっかり散布しましょう。
近隣住民への配慮も大切です。時間帯や気象条件に注意し、農薬使用の散布日時や農薬の種類等について情報提供することで、トラブルを未然に防ぎましょう。
また、農薬の使用状況を必ず記録し、農薬の適正使用につなげましょう。
3 病気に対する予防剤・治療剤
殺菌剤には、作物が病気にかかる前に散布する「予防剤」と病気の発生がみられてから散布する「治療剤」があります。
状況に応じ、使い分けが必要です。
治療剤は病気の初期段階での使用が効果的なので、ほ場をよく観察し、散布のタイミングを逃さないようにしましょう。この使い分けは薬剤耐性の対策の一つとしても有効です。
4 農薬飛散(ドリフト)防止の徹底
農薬散布時に散布対象以外に農薬が飛散することをドリフトといいます。
近接作物に農薬がドリフトすると、農薬の残留に関する基準を超えてしまうなどの問題が生じる可能性があります。
ドリフトを防ぐために、農薬散布時には次のことに気を付けましょう。
①風がない、または弱いときに風向きに気を付けて散布
②散布の距離や方向に注意
③ドリフト低減ノズルなどを使用
また、農薬散布後は、タンクやホースを十分に洗浄しましょう。
作物はもちろん散布者の安全の確保も必要です。農薬の使い方を一度見直してみましょう。
農薬登録状況の詳細は農林水産省のホームページから検索できます。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。