秋冬野菜の栽培について

秋冬野菜の栽培について

東松山農林振興センター

いよいよ秋冬野菜作付けの季節となってきました。昨年は、8月中旬から9月下旬までの天候不順により、作業が遅れたほ場が散見されました。

ほ場の準備を早めに行うとともに、作目・品種に合わせた管理を行い、良品生産に努めましょう。

1 ほ場の準備

(1) 堆肥の施用

堆肥施用は、保肥力や保水力を高め、微生物を豊富にし土壌病害の発生を抑制し、環境の変化に強くなるなど、土づくりの基本となります。

種まきや定植の一か月前までに、完熟した良質な堆肥を施用しましょう。ただし、ダイコンやニンジンなどには前作の前に施用します。

(2) 基肥の施用

基肥は土壌診断に基づき適正な量を、種まきや定植の2週間前を目安に施肥しましょう。

表1 野菜類の施肥前EC値による基肥(N)施肥量の目安
201708-1

施肥量は、各種栽培資料や埼玉県主要農産物施肥基準(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0903/documents/552004.pdf)を参考にします。

(3) 太陽熱土壌消毒

6月23日に気象庁から発表された3ヶ月予報では、今年の8~9月は気温が高い予報となっています。

太陽熱土壌消毒は、夏季の日射により地表近くの温度を40℃以上に上昇させ維持することで、土壌病害虫の低減、雑草の発生抑制等を図るものです。

通常、梅雨明けから1か月程度が実施の適期となりますが、作付けまでの期間があるほ場では、実施しましょう。

手順は、次のとおりです。

①堆肥・基肥施用を慣行と同様に行う。

②畝を立てるなど、種まきや定植できる準備をする。

③植付を行う部分を、透明のマルチなどで被覆する。(土壌水分が高い方が、効果が高い。)

④種まき・定植の直前に被覆を剥がす。

太陽熱土壌消毒は、太陽の熱を利用し、土壌表面部の温度を上昇させ効果を得るものです。できるだけ長く被覆を行い温度を高く保ち、被覆除去後は表面の土壌を動かさないようにすることがポイントとなります。

2 種まき

(1) 種子の用意

種子は農協等で購入しましょう。

種子の寿命には長短があり、

①毎年種子の更新が望ましいもの。(ネギ、タマネギ、ニンジン、インゲン、ラッカセイなど)

②乾燥した冷暗所などで保存し、状態が良ければ翌年も使用できるもの。(キャベツ、はくさい、かぶ、だいこん、レタスなど)があります。

(2) 種まき時の害虫防除

本ぽへの種まき時に粒剤を施用することにより、初期の害虫防除効果が期待できます。(表2)

また、種まき後すぐに防虫ネットで覆い、チョウ目害虫の被害を低減させましょう。

表2 種まき時に使用できる薬剤例(H29.6.29現在)
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3 セルトレイによる苗づくり

はくさいやブロッコリー、のらぼう菜などは、セルトレイ育苗により根鉢が形成され、定植作業が容易になります。

手順は、次のとおりです。

①水稲の育苗箱などの上にセルトレイを置き、育苗培土を詰める。(128穴のセルトレイに必要な培土量は約4リットル)

②十分に灌水し培土を湿らせるとともに、落ち着かせる。(この時、培土の高さは、覆土をするためトレイの上面より低くする。)

③1穴に1粒ずつ種をまき(深さはトレイ上面から1cm程度)覆土後、新聞紙で被覆し、発芽が確認できるまで、直射日光の当たらない風通しの良いところに置く。

④発芽が7割程度確認できたら、夕方に被覆を剥がす。根鉢を形成させるためコンテナやベンチなどで地面から離して育苗する。この時、防虫ネットで被覆することにより、虫害を防ぐ。

⑤培土の水分量が多すぎると徒長の原因となるため、灌水は午前中に行い、夕方には表面が乾いて、葉が軽く萎れている程度にする。夕方の灌水は徒長の原因になるため、苗の萎れが激しい時のみ軽く葉水を行う。

⑥苗の本葉3.5枚程度で根鉢が形成されていれば、定植適期となる。

⑦育苗期後半~定植当日に表3の薬剤を施用することにより、定植後3~4週間対象害虫の防除効果が期待できる。

表3 育苗期後半のセルトレイ等へ施用できる薬剤例(H29.6.29現在)
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農薬はラベルを確認し、適正に使用しましょう。

適正な栽培管理で、安全安心な良品生産を心がけましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。