病害虫対策について

病害虫対策について

病害虫の発生は、個々の発生条件により異なりますが、多くの害虫はこれから夏にかけて気温の上昇とともに発生量が多くなります。また、病気は長雨、梅雨期のような条件で発生が助長されます。

1 病気について

病気は糸状菌(かび)や細菌、ウイルスなどの病原菌の感染によって発病します。病原菌の多くは、土の中や空気中などに存在し、条件が揃うと発病します。

(1)糸状菌(かび)

病気の7~8割は糸状菌によるものです。高温や低温、多湿な環境で発生しやすく、胞子が作物に付着すると、糸状の菌糸を伸ばして、作物の体内に侵入します。病気が進むと、葉や花、果実などに病斑が形成され、病斑から風や雨などで胞子が飛散して被害が拡大します。日照、排水、風通しの良い環境に努めます。

(2)細菌

細菌は害虫による食害部や作業時での傷口、作物の気孔や水孔から侵入します。発病すると軟化や腐敗、しおれなどの症状が現れ、枯死する場合もあります。排水不良を改良し、マルチングで泥はねを防止したりして、土の中の菌が作物に付着しないようにすることが大切です。

(3)ウイルス

アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの害虫による吸汁、作業による人や農機具によっても感染します。感染すると葉や茎、花などにモザイク模様やすじ模様ができ、退色や黄変、矮化、萎縮などの症状が出ます。感染したら治療できないので、他の作物に感染しないように発病株は抜き取って処分します。

2 害虫について

早春には若苗や新芽にアブラムシ等が見られます。害虫は葉の裏など目の届かない場所で発生していることが多く、害虫の発生初期を見逃すと被害が大きくなるので、早期発見、早期対処が大切です。害虫は被害を受ける場所により、害虫のタイプを判断することができます。

(1)地上部を吸汁する

葉や花、新梢、果実などに小さな虫が寄生して、汁液を吸汁して加害します。アブラムシに寄生されると寄生部位が黄変、縮葉や排泄物により、すす病を併発して生育が悪くなります。他に、コナジラミ、アザミウマ、ハダニなどは微小な害虫なので、被害が拡大してから気づく場合が多いです。

(2)地上部を食害する

葉や花、芽、新梢、果実などを食害します。虫に食べられた穴やふんなど見つけたら、葉裏など見つけにくい場所に潜んでいる場合が多いので注意します。主な害虫はヨトウガ類、アオムシ、コナガ等です。

(3)地下部を加害する

根や根茎(いも等)を食害したり、根に寄生して腐らしたり、虫こぶを形成して被害を与えます。被害に遭うと地上部がしおれたり枯れたりします。主な害虫はコガネムシの幼虫、センチュウです。

3 防除方法の工夫

病害虫対策は予防が重要です。

あらかじめ病害虫が発生しにくい栽培環境づくりに努めましょう。

(1)耕種的な防除

栽培方法の工夫により、病害虫が活動しにくい環境づくりをします。

・土壌管理

未熟な堆肥はコガネムシやタネバエ等の被害や作物の生育に障害が出る場合があるので、堆肥はなるべく完熟したものを使用しましょう。

・栽培管理

密植(風通しや日あたり)や肥料過多、肥料不足、過湿等は作物が軟弱に育ち、病気への抵抗力が低下し、病気にかかりやすくなるので注意します。

・圃場衛生

圃場及びその周辺に作物残渣があると、病害虫の発生源となるので、放置せずに片付けましょう。アブラムシやアザミウマ等の小さな害虫は、雑草にも寄生するので、圃場周辺の除草にも努めましょう。

・輪作

同一圃場で同じ科(ナス科やウリ科等)の野菜を連続して栽培していると、土壌のバランスが崩れて、特定の病原菌やセンチュウ等害虫の密度が高まり、被害を受けやすくなります。同じ科の野菜が続かないように計画を立てて、栽培するようにしましょう。

(2)物理的な防除

害虫が直接農作物に寄生しないように資材を活用して予防します。

・マルチの活用

多くの害虫は作物の色(緑や黄色)を好み、キラキラ輝く銀白色を嫌う習性があります。この習性を利用して、アブラムシ等の飛来を抑制することができます。また、マルチにより地上部への泥はねを抑えることで土壌伝染性の病気の予防にも役立ちます。

・防虫ネット等の活用

防虫ネットや寒冷紗で覆うことで、害虫の侵入を防ぐことができます。害虫が侵入する前、播種や定植作業と併せて被覆するようにします。

・粘着板の活用

アブラムシ、コナジラミ、ハモグリバエ等は黄色、アザミウマは青色に誘引される性質があるため、粘着板を設置して害虫の発生を確認したりすることができます。

201903-1
粘着板の設置

ネットの目合いと侵入防止できる害虫
201903-2

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。