鮮度が命のホウレンソウは自家菜園取りが最良
鮮度が命のホウレンソウは自家菜園取りが最良
西アジアが原産で世界各地に広がり、日本へは東洋種が中国から、その後西洋種がヨーロッパから伝わり、現在は両者の交配種が主流で、品種改良により新品種が次々とお目見えしています。
カロテンやミネラルが豊富で、緑黄色野菜の中でも栄養価は抜群。鉄・マグネシウム・マンガン・亜鉛などのミネラル類、ビタミンB1・ビタミンC・葉酸などを豊富に含み、貧血予防にも有効とされています。
葉物野菜の中でもホウレンソウは鮮度が命、葉先から水分がどんどん蒸発してしまうので、取りたての新鮮なうちに調理したいもの。家庭菜園取りが大変魅力的です。
畑の準備に当たっては、ホウレンソウは酸性土壌を最も嫌う作物であること(好適pHは6.3~7.0)を心得、石灰を多めに施用することと、畑の周囲の排水を図り、まき溝に水たまりしないように、凹凸なく丁寧に作るようにします。
まきどきは春先のトンネル栽培の2月上旬(関東南部の平たん地、以下同じ)から10月中旬までの広範にわたりますが、ホウレンソウは低温には強い(生育停止温度は0度だがマイナス10度までは寒害を受けない)のですが、高温には比較的弱い(30度になると生育停止)こと、日長が長い時期(13時間以上)あるいは外灯の照明下などにまくと、とう立ちすることをよく認識してまきどきを選ぶことが大切です。
露地栽培で育てやすいのは9月上旬から10月上旬の秋冬取りと、3~5月の初夏取りです。ただし、春まきは長日条件に入るので、春まき用の晩抽性(とう立ちしにくい品種)を選ぶことが大切です。
ホウレンソウの種子は堅い果皮の殻に包まれていますので、過湿の畑では果皮が水を吸い過ぎ、内部が酸欠になり発芽しにくくなってしまいます。多雨の後はまき溝に水たまりしていないか気配りをしましょう。発芽しやすいように果皮を取り除いたり、削って薄くした種子も販売されています。これらは発芽しやすいですが、種子を保護する力が弱いので、乾燥期には発芽するまでの灌水(かんすい)を怠らないように注意しましょう。本葉2枚で間引いて株間を2cmほどになるようにし、株元に少し土寄せします。その後1~2回間引きして、最終株間を6~7cmとし、草丈5~6cmのころと10cmぐらいのころ、条間に化成肥料と油かすを追肥し、中耕して土を和らげます。草丈が20cmぐらいになったら収穫適期です。
板木技術士事務所/板木利隆(JA広報通信より)
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。