ニンジンのトンネル栽培とう立ちさせない温度管理を
ニンジンのトンネル栽培とう立ちさせない温度管理を
園芸研究家●成松次郎
ニンジンの発芽適温は15~25度で発芽には10度以上、生育適温は18~21度です。緑植物春化型といい、ある程度の大きさになり、低温に遭遇すると花芽が形成され、その後の長日と高温でとう立ちが始まる野菜です。
[品種]春まき用にはとう立ちがしにくい品種を選びましょう。どんな土壌にも適し、作りやすい「向陽二号」(タキイ種苗)、草勢が強く、芯まで鮮紅色になる「ちはま五寸」(横浜植木)などがあります。なお、暖地向きの「黒田五寸」はとう立ちの早い品種です。
[畑の準備]種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまき、30㎝程度の深さに耕します。1週間前に、化成肥料(NPK各成分で10%)100~150gと完熟堆肥2~3kgを施し、土とよく混ぜておきます。
条間15㎝、株間15㎝などの穴開きマルチ資材の規格に合わせた70~80㎝のベッド幅を作ります。マルチは早めに張って地温を上げておきましょう。
[種まき]温暖地では1~2月から種まきができますが、家庭菜園では3月まきが安心です。穴開きマルチでは、1穴に5~6粒まきます(図1)。
[トンネルの設置]換気作業を省力化するには穴開きのトンネル資材(農ポリ)を選ぶと良いのですが(図2)、普通の農ポリでは生育に従って裾を上げて換気をします。さらに、トンネル内の茎葉が茂り、いっぱいになればトンネルを外します。
[間引き]1回目は本葉2~3枚のときに2~3本、2回目は5~6枚のときに一本立ちにします(図3)。
[土寄せ]間引きと同時に土寄せを行い、さらに収穫期近くには、根の肩の部分にさらに土寄せして、根が緑に着色するのを防ぎます(図4)。
[収穫]根の径が4~5㎝に肥大した株から順次抜き取ります。太り過ぎて裂根しないうちに収穫をします(図5)。裂根は急激に肥大する生育後半、畑が乾燥または過湿となる水分条件で起きやすいものです。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
イラスト:小林裕美子
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。