手軽に作れ、多回収穫で重宝するワケギ
手軽に作れ、多回収穫で重宝するワケギ
「分葱(ワケギ)」の名のある通り、1個の種球から株分かれして細いネギがたくさん伸びてきます。伸びてきたネギを刈り取ると、また葉が伸びてきて、生育期間中に4~5回刈り取り利用できるので、大変重宝します。
ネギとタマネギの仲間エシャロットの自然交雑で生まれた変種で、種子は取れず、もっぱら種球により増殖します。種球を植えることと、刈り取りした後に追肥するだけでよく、間違いなく良く育ち、失敗はほとんどありません。野菜の中では一番成功率が高いといって差し支えないでしょう。
7~8月になると園芸店に、ネット袋に入った種球が売り出されるので、これを買い求めて栽培します。
元肥として完熟堆肥、油かす、化成肥料を全面に施し、15cm内外に耕し込んだ畑に、列間60cm、株間15cmに、準備した種球を植え付けます。種球は7~8月に休眠から覚め、芽が伸び始めていますが、この芽先が地上にわずかに出るくらいの深さに植え付けます。深植えし過ぎると後の伸びが不良となりがちです。
芽が伸びだし、草丈が15cmほどになったころ、列の片側に油かすを少々追肥します。
秋に入ると株分かれした葉が盛んに伸びだしてきます。収穫は草丈が20cm程度に伸びたころから行います。株元を地上3~4cmほど残して、かまか刃物で刈り取ります。ネギ類は全てそうですが、切り口からすぐに中で分化した幼葉が伸びだし、元の形に育ちます。この新芽の育ちを良くするために、刈り取り後すぐに列の片側に、軽く溝を付けて油かすと化成肥料を追肥します。
列間の土が硬くなったら、時々中耕をして根の伸びを助長します。
収穫は4月下旬ごろまで、4月末ごろになると次第に葉の勢いがなくなり、次第に黄化し、ついには完全に枯れ上がってしまいます。
このころには株元にたくさんの種球ができ、休眠状態に入ります。葉がすっかり枯れたころに掘り上げて、風通しの良い涼しい場所で乾かして貯蔵します。これは次年度の種球として利用できるので大助かりです。
たくさん育てて、新鮮な葉を秋から冬にかけての薬味や吸い口に、魚介とぬたに、鍋物にと利用しましょう。種球がたくさん取れたなら、外皮をきれいにむいて素揚げにして食べるとおいしいです。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。