火傷病発生に係るなしの花粉の確保対策について

火傷病発生に係るなしの花粉の確保対策について

東松山農林振興センター

 

中国における火傷病の発生を受け、令和5年から中国産花粉の輸入が停止されています。
今後は、次の方法等により、花粉を確保する必要があります。

 

・「新興」や「松島」など、花粉採取用品種からの採取量を増やす(3月下旬~4月上旬頃)。

・せん定した枝から花粉を採取する(3月中旬~下旬頃)。

・摘蕾・摘花した蕾や花からも花粉を採取する(3月下旬~4月上旬頃)。

 

この中で、せん定枝を活用した方法は、花粉の不足量が比較的大きい生産者にとって、効率的な花粉確保が可能と考えられます。

 
 

せん定枝から花粉を採取する方法

 

①3月中旬~下旬頃(自然開花の2週間前を目安とする)に1年生枝(長果枝)を採取する。

 

②屋内に搬入し、容器に水挿しする。

 

③夜間5℃以上、日中25℃以下で管理する。必要に応じて暖房器具で加温する。
ビニールハウス等で管理をしていて、日中の気温が上がった場合、換気を行う。

 

④全体の約50%が開花したら、枝全体を手でしごき、花を採取する。

 

⑤花の採取後は、採葯、葯精選、開葯を経て、受粉に使用する。使用前に発芽試験を行うとよい。

 

花粉確保量の目安は、図のとおりです。
枝を採取する樹をあらかじめ決めて、その樹を除いて、整枝・せん定作業を進めておきましょう。

 

※せん定枝から花粉を採取する場合でも、花粉採取用品種からの花粉採取や、摘蕾・摘花からの花粉採取も併せて行い、花粉を十分に確保しましょう。

 
 


 

 
 

花粉を保存する方法

 

花粉を採取してから数日後に使用する場合、次のとおり保存しましょう。

 

①使いやすい量に小分けした花粉を薬包紙などで包む。

②シリカゲルを入れた茶筒やタッパーなど密閉できる容器に入れる。

③冷蔵庫に保管する。

 

また、余った花粉を来年度まで取っておく場合は、①~③の方法で保管し、冷凍保存しましょう。
保存温度は、マイナス30℃が理想ですが、家庭用冷蔵庫の冷凍室を使用する場合は容器の口をビニールテープで密封し、冷凍室の奥に入れて温度変化が少ないようにしましょう。

 

当面の間、花粉を自家採取する必要があるため、なるべく多く花粉を採取し、来年度使用する分も貯蔵できるようにしましょう。

 
 

品種の和合性

 

受粉の際は、和合性にも留意しましょう。
例えば、「彩玉」と「豊水」は不和合性を示し、互いに受粉に使用することができません。
表を参考に、受粉可能な品種の組み合わせを確認しましょう。

 
 


 

一覧へ

【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。