小玉スイカ 甘みが強く手頃な大きさ
小玉スイカ 甘みが強く手頃な大きさ
園芸研究家●成松次郎
スイカはアフリカ南部カラハリ砂漠が原産のため、高温、強い光と乾燥でおいしいものが取れます。
中間地では温床内で3、4月に種をまき、7、8月に収穫します。生育と病気に強い接ぎ木苗が市販されており、利用すると便利です。
[品種]
家庭菜園では重さ2、3kg程度の小玉スイカがお薦めです。
赤肉球形では「姫甘泉」(丸種)、「紅しずく」(タキイ種苗)、「紅こだま」(サカタのタネ)など、
赤肉楕円(だえん)形では「姫まくら」(丸種)、「マダーボール」(ヴィルモランみかど)などがあります。
種まき
温床マットなどで25~30度に加温したトンネル内(図1)で培養土を詰めた9cmポリポットに3粒ずつ種をまきます。
本葉が出始めた頃には夜温15~20度に下げます。
その後、良い苗を残し間引いて1本にし、本葉4、5枚の苗にまで育てます。
畑の準備
植え付け2週間前までに1平方m当たり100g程度の苦土石灰を散布し、土とよく混ぜておきます。
次に、畝幅250cm、深さ20cmの溝を掘り、この溝1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと
堆肥2kgを施します。この溝を中心に土を戻して幅90cm、高さ10cm程度のベッド(栽培床)を作り
(図2)、黒マルチを張ります。
[植え付けと保温]
風のない暖かい日に、深植えにならないよう株間80~90cmに植え付けます。
植え付け後は保温と風よけのために、ビニールで30cm角の「あんどん」やドーム状のホットキャップをかぶせます(図3)。
あんどんの中が茎葉でいっぱいになったら取り外します。
[整枝・敷きわら・追肥]
本葉5、6枚で摘心し、強い子づる4本を伸ばします。
つるが伸びていく場所にわらやつるが絡むシートを敷き、つるを片方に振り向けて重ならないように配置します(図4)。
つるの長さが50cm程度と果実が卵大程度のとき、1株当たり化成肥料50g程度をつる先に散布します。
[人工交配・摘果]
強い子づる3本に着果させるため、親づるから数えて15~20節目の雌花全てに交配します。
早朝(9時ごろまで)に雄花を切り取り、花粉を雌花の柱頭になすり付けます。
このとき、交配した雌花の近くに交配日を記したラベルを付け、収穫適期の目印にします。
果実がこぶし大のときに変形果を摘果し、各つる1果(計3果)取りを原則とします。
[病害虫の防除]
茎葉が日中しおれ、茎が割れるつる割れ病には、接ぎ木苗を使います。
うどんこ病、アブラムシ、ハダニなどが発生したら登録農薬で防除します。
[収穫]
小玉スイカは開花後(交配後)35~40日で熟してきます。
収穫適期は、①巻きひげが枯れている②果実の肩が張り光沢が出ている③果実の尻の部分がへこみ、
指で押すと弾力を感じる④地面に付く果皮が濃黄色となるなどでも判断できます(図5)。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。