いちご定植前後の管理

いちご定植前後の管理

東松山農林振興センター

 

9月に入ると、いちごの定植が始まります。長い収穫期間を支える株に育てるためには、「根張り」が重要です。

花房が出てくるまでに、いかに作物にストレスを与えず「根を十分に張らせることができるか」が管理のポイントになります。

 

次の内容を参考に、定植前後の管理を再確認しましょう。

 

1 定植前の準備・管理

(1)病害虫対策

・ハウス内外の除草

雑草は、病害虫の棲み処になります。ハウスの周辺部や、暖房機周りの雑草をこまめに管理しましょう。

また、防草シートをハウス周辺に張ると、除草の手間を減らすことができます。

 

・苗への防除(表参照)

ハウス内に病害虫を「持ち込まない」ことが重要です。事前に、ハダニ対策を行いましょう。

基本の対策として、気門封鎖剤を使用して成虫の密度を減らしましょう。モベントフロアブルの灌注処理は、苗が薬剤を吸収する時間を確保するため、定植3~5日前に行うのがおすすめです。

高濃度炭酸ガス処理は、高濃度(60%)の炭酸ガスでくん蒸処理を行い、ハダニ類を防除するものです。薬剤抵抗性を持ったハダニ類にも有効です。

(2)かん水過多に注意

かん水量が増える時期ですが、多すぎると根腐れや肥料切れの原因になります。

かん水量を増やしたい場合は、早朝と夕方の比較的涼しい時間帯の2回に分けて行いましょう。一度に与える水の量は、ポット穴から水が落ちない量としてください。

葉が濡れる時間が長いと病気を誘発します。風通しよく管理しましょう。

 

2 定植直前・ 当日の管理

(1)苗の仕上げ

充実した苗を定植しましょう。元気な下葉は取り除かなくていいですが、黄化した葉や病葉は取り除いてください。

葉色が淡く、肥料が切れているような場合は、薄めの液肥を与えて活着時の体力をつけましょう。

(2)苗を植える位置(図1)

根は、花房が出る方向に多く伸長します。例えば、外成りの2条植えの場合、苗は畝の中心に寄せて植えて十分に根を張らせる場所を確保しましょう。

(3)苗の植え付け深さ

新しい根はクラウン部(図2)から発生します。適正な深さ(写真2)で植え付け、クラウン部と畝の土を密着させましょう。

植えた後も、クラウン部に土寄せを行い、根がのびやすい環境を整えてあげましょう。

 

浅植え(写真1)や深植え(写真3)は、葉の展開や収穫開始が遅れる原因になります。

 
 

 
 

 
 
(4)植付け後の水やり

発根には水が必要です。

定植後1週間は、こまめに株元にかん水を行いましょう。

活着の目安

〇定植後に展開した葉が、①定植時の葉より大きく、②草丈が高くなっていること。

〇概ね10日に1枚のペースで新葉が展開すること。

 

3 定植後の管理

(1)定植直後の高温に注意

いちごの生育適温は20~25℃で、30℃を超えると極端に生育が衰えます。できる限り高温にならないよう、遮光や換気を積極的に行いましょう。

(2)病害虫対策

チョウ目、ハダニ類、うどんこ病の防除を行ってください。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。