田植前後の管理について
田植前後の管理について
東松山農林振興センター
関東甲信地方の3か月予報(令和4年3月25日)によると、5月の天気は数日周期で変わり、平年と同様に晴れの日が多く、6月は平年と同様に曇りや雨の日が多いと予想されています。
5月、6月の気温は平年並か高く、降水量は、ほぼ平年並の見込みです。
育苗期や田植え時期の急激な気象の変化や、次の事柄に気を付けて管理しましょう。
なお、水稲の育苗管理については4月号に掲載しています。
1 育苗期後半の管理
寒暖の変化が大きいときは、温度管理を誤ると、①苗立枯病の発生、②発芽後に芽が焼ける、③生育後半にムレ苗が発生、などが起こりやすくなります。
苗立枯病やムレ苗は、症状が軽微な場合は、田植をすることによって回復することがあるので、田植が可能な場合はすみやかに行ってください。
育苗期間が長く(1か月以上)、苗の色が全体的に黄色っぽくなった場合は、肥切れの可能性があります。
その際は、苗箱1枚あたり窒素成分で0.5g(硫安の場合は約2.5g)を0.5リットルの水に溶かして灌水します。
2 田植えのポイント
田植前の耕うんは、深さ15cmを目標に行います。根がより深く・広く張り、夏期の高温対策にも有効です。
植付株数は坪当たり60~50株(30cm×18~22cm)が収量・品質面で安定しています。
近年、さらに株数を減らした疎植栽培も見受けられますが、天候不順の際は穂数確保が難しく、注意が必要です。
株に植え付ける苗数は2~3本、植え付ける深さは2~3cmが理想です。
田植え後は活着まで5~10cm程度の深水管理を行い、活着したら2~3cmの浅水管理を行いましょう。
ただし、低温や強風時には深水管理をして稲を守ります。
3 箱施用剤による病害虫防除
移植前に専用の防除薬剤を育苗箱に施用すると、本田のいもち病やウンカ類などの防除も行えます。
水稲初期の病害虫に広範囲に効果があり、長期間効果あるものは、省力的に病害虫対策ができます。
4 雑草防除
雑草の種は水があれば活動し始め、気温が高い日が続くと急激に生長します。
ほ場内で最も生育が進んでいる雑草を基準に、防除適期を逃さないようにしましょう。
田植前の耕うんや代かきはていねいに行い、田面を均平に整えておくことが除草剤の効果を高めるポイントです。
苗の活着(根張り)が悪いほ場や植え傷みが出たほ場は、安全使用基準の範囲で使用時期を遅らせてください。また、気温が高くなると雑草の生育が早まり、使用時期の範囲内でも薬剤が効きにくくなるので注意しましょう。
一発処理剤で効果が不十分の場合は、草種に適した中期剤・後期剤との体系処理を行います。
除草剤を散布する際は、ほ場の水の出入りを止め、湛水状態とし、散布後7日間は水田内の水を動かさないよう湛水を保つ管理をしてください。
散布後のかけ流しは行わず、雨予報がある場合は散布の延期などを心掛けてください。
5 その他
移植後、苗の葉色が淡いほ場がある場合、活着の遅れ、温度の影響等で元肥を十分吸収できていない場合があります。
すぐに追肥は施用せず、少し様子を見てください。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。