農業生産への堆肥有効利用 ~安定生産に向けた土づくり~
農業生産への堆肥有効利用 ~安定生産に向けた土づくり~
東松山農林振興センター
安定的に消費者が求める安全・安心な農産物を生産するためには、良い土づくりが重要です。次回の作付けまでに堆肥等の有機物の利用も含めて、安定生産につながる土づくりを考えましょう。
1 農作物から見た良い土の条件
農作物の生育に適した土とは、水はけ、水もちが良く、有機物を多く含んでいる土壌です。
良い土で栽培された農産物は、健全に生育し病害虫からの被害も少なくてすみます。
一般的に言われる、農作物の生育から見た良い土壌の条件を次に記載します。
①根が充分に張れる
②通気性、排水性が良い
③保水性、保肥性に優れている
④適正な酸度(pH)(表1を参照)
⑤清潔である
⑥異物が混ざっていない
⑦微生物が多く含まれる
表1 主な作物のpH好適範囲
実際には、地域やほ場の違いにより、粘土質を多く含んだ重い土から砂のようにさらさらとした軽い土まで、土壌の条件は様々です。ご自分のほ場の土壌はどのような性質なのか、栽培する作物に対して土壌のpHは適正なのか、化学性・物理性などの面から科学的な視点で分析して、改善の方向性を見定め、目標をもって土づくりを継続的に進めていくことが重要です。
また、良い土の条件を踏まえて土づくりを進めていくためには、定期的に堆肥等の有機物を投入することがとても効果的な手段となります。
2 堆肥等(有機物)の施用効果
ほ場に堆肥や有機物を投入することにより、次のような効果が期待できます。
①団粒化を促す効果
ほ場に堆肥などの有機物を施すと、土中の微生物がそれを分解します。その分解物は土粒と土粒を結びつける働きがあり、土の団粒化を促進してくれます。さらに団粒になることで、土がふかふかで膨軟な状態となり、土のすき間が多くでき、通気性・排水性の改善も期待できます。
②土壌微生物の働きを活性化する効果
堆肥などの有機物は微生物の活動エネルギーになります。分解されたチッソやリン酸などの元素は、植物に有効に働きます。また、吸収されずに余った養分は、微生物が吸収することで一時的に貯蔵されます。
③肥あたりや生育障害を防ぐ効果
堆肥などの有機物を投入すると腐植(有機物が分解されたもの)の多い土となり、肥料をやりすぎても肥あたりを和らげる働きがあります。また、有機物から出る腐植酸や有機酸といったものが、作物の生育を健全に保ってくれます。
3 堆肥の種類と特性
昔は、わら類や落ち葉などを堆積して腐熟させたものを堆肥と呼んでいましたが、現在では、堆肥化処理したものは原材料に関係なく堆肥として呼ばれています。堆肥の原材料には家畜ふん尿を始めとして、下水汚泥や食品工業廃棄物、林産廃棄物などいろいろな有機物が使われています。また、副資材との組み合わせにより、製品の種類も豊富にあります。原材料や製造方法により肥料成分が違いますので、その特性や成分量を確認した上で投入するようにしましょう。実際の栽培場面では、化学肥料の投入量の増減などを勘案するようにしましょう。
表2に各種堆肥の特性を、表3に主な堆肥の肥料成分含有量の例を示しましたので、投入時の参考にしてください。
表2 各種堆肥の特性
表3 各種堆肥の肥料成分含有量の例
堆肥の利用にあたっての注意点は、未熟な堆肥では、発芽不良、生育障害等の原因になることがあるので利用時に注意をする。ほ場への投入時期は、遅効性の性質等も考慮して作物作付け前20日から30日前までに実施するようにする。などです。JA埼玉中央の管内には、家畜糞尿を原材料にした良質な堆肥を生産している畜産農家も多くあります。計画的な土づくりのためにも有効に活用してください。
農業経営の法人化について
農業経営を発展させ、次世代に継承していくため、国・県では農業経営の法人化を推進しています。
個々の経営状況により必要性は違いますが、「経営を発展させたい!」、「次世代に経営継承したい!」など、将来に向け法人化を検討している方は、東松山農林振興センター(農業支援部TEL0493-23-8582)までご相談ください。
以下には、法人化とは何か、一般的に言われている法人経営のメリットやデメリットを記載しましたので参考にしてください。
1 法人化とは
法人化とは、一定の目的のために結合した人の集団(任意組織)等が、所定の手続き(登記申請)をすることで、個人(自然人)と同じように法律上の権利義務の主体となることが認められることです。
2 法人化のメリット・デメリット
経営の法人化は農業経営の改善につながること、他産業並みの就業条件が整備できることなど、「農業」が魅力ある職業となるための基礎的条件の整備につながります。
その概略は次のとおりです。
経営を法人化した場合のメリットとデメリット(義務・負担)
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。