水稲収穫期の管理
水稲収穫期の管理
7月中旬以降、連日猛暑日となる高温が続き、水稲の生育は平年より進んでいます。白未熟粒などの高温障害や刈り遅れによる胴割をなくすため、今後は出穂後の水管理を適正に行い、適期収穫に努め、良質米生産をめざしましょう。
1 水管理
出穂後7日以降は、水を入れっぱなしにせず、田に入水したら水口を閉めて断水し、自然に落水させる間断かん水を行い、根の活力を維持します。間断かん水は1週間を1サイクルとし、3~4日ごとに湛水と断水を繰り返します。また、高温が続く時は入水の際、夕方以降行うことで田面の温度を下げる効果が期待できます。
早期落水は乳白米等による外観品質の低下や粒張不良を招くため、出穂後30日は土壌水分を保ちます。完全に落水するのは、収穫の10日~2週間前とします。
収穫前に異常高温や強風、豪雨が予想される場合は、できる限り深水にします。
農業用水は水利権により取水量、取水時期ともに制約があることからかけ流しは行わないように気をつけましょう。
2 収 穫
刈取適期は、出穂期を基準に出穂後日数、積算気温、滞緑色籾割合により総合的に判断します(表1参照)。
表1 収穫適期の目安
(1)積算気温による収穫判断
収穫適期は、出穂後の気温により前後します。表2を参考に適期収穫を心がけましょう。出穂後の気温が高いと収穫適期は前進するので、収穫準備は早めに行いましょう。
表2 今年の出穂期および積算温度からみた収穫適期(予想)
(2)穂の帯緑色籾割合による収穫判断
帯緑色籾割合とは、1穂の中に僅かでも青みが残っている籾の割合のことです。品種・作型ごとで割合が異なるので表1を参考に適期判断をしてください。帯緑色籾は図のように稲穂の軸に近い元の部分に多く見られます。
高温の年は、葉よりも穂が先に熟し、刈り遅れになりやすいので注意してください。
図 稲穂の帯緑色籾
3 乾燥・調製
(1)乾燥時の注意点
仕上がり籾水分は14.5~15%を目標とし、乾燥を行います。過乾燥は、お米の品質や食味を低下させるので気をつけましょう。
穀粒水分が20%を上回る場合は、乾燥機の送風温度を低めの40℃以下とし、水分が20%以下になったことを確認してから温度を45℃に上げます。高水分籾の高温での急激乾燥は、胴割れや食味低下の原因となるので、行わないでください。
(2)籾すり・選別時の注意点
籾すりは、乾燥直後、籾の温度が高い状態で行うと肌ずれ米や胴割米を生じるので、籾が十分冷えてから行います。ライスグレーダーの網目は1.8mmとし、適正な流量で調製しましょう。
4 次年度に向けて
稲刈りが終わった段階から、翌年度の水稲栽培がスタートします。稲わらや刈り株は翌年の土づくり資材となります。残った稲わら等は、ほ場にできるだけすき込み土に返しましょう。
今年もヒメトビウンカが媒介する縞葉枯病の発生が、コシヒカリ・キヌヒカリ等の品種で確認されています。また、ヒメトビウンカの今年の保毒虫率は昨年に続き高い状況なので、保毒虫率を低く抑えていく対策が今後も必要です。
縞葉枯病に感染した刈り株から生じたひこばえをヒメトビウンカが吸汁することで、保毒虫率が増加するので、収穫後は、早めに耕起を行い、ひこばえの発生を抑制し、翌年の保毒虫率の低下を図りましょう。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。