水稲の収穫前後の管理について

水稲の収穫前後の管理について

水稲の出穂が早まり、早植地域ではすでに収穫が始まっています。本年も、平成25年度と同様に出穂後の気温が高温傾向で推移しています。稲作の最後の詰めとなる出穂後の水管理、適期収穫に努め、良質米生産をめざしましょう。

1 水管理

~出穂以降の根の維持管理~

ほ場の条件にもよりますが、出穂期から30日間は水が必要です。早期落水をしてはいけません。完全に落水するのは収穫の10日~2週間前としてください。早期落水したほ場では、乳白米等による品質低下を招く恐れがあります。ほ場条件が良ければ、収穫間近まで土壌水分を保持し根の活性を高めることが品質と収量の向上に有効です。

また、収穫までに台風等による強風・大雨が予想される時は、可能であれば深水管理により品質低下を防ぎましょう。

2 収穫適期の判断目安

○積算気温による適期判断

収穫適期は出穂後の気温により前後します。穂の全体が黄化してからでは刈り遅れで「胴割米」や「茶米」が多くなり、逆に早刈りでは「青米」や「未熟米」が多くなります。出穂から登熟期間の積算気温により収穫時期が前後します。下表を参考に適期収穫を心掛けましょう。

○穂の帯緑色籾の割合による判断

「帯緑色籾割合」とは、1穂の中に僅かでも青みが残っている籾の数の割合(%)のことです。下表の品種毎の帯緑色籾割合も参考に適期判断をしてください。帯緑色籾は図のように稲穂の軸に近い元の部分に多く見られます。

高温の年は葉よりも穂が先に熟し刈り遅れになりやすいので注意して下さい。

201409-1

201409-2

 

表 出穂期から見た収穫適期の目安

3 収穫

台風や大雨により部分的に倒伏してしまった場合は、できるだけ刈り分けしてください。特にキヌヒカリは、倒伏により穂発芽しやすくなります。穂発芽による品質低下を避けるため、倒伏したほ場では収穫適期よりもやや早めに収穫してください。

4 乾燥・調製

適切な乾燥・調製を行うことは、おいしいお米に仕上げる最後のポイントです。仕上がり籾水分は、14・5~15・0%を目標にします。穀粒水分が20%を上回る場合は、送風温度を40℃以下とし、水分が20%以下になったことを確認してから送風温度を45℃に上げます。急激な乾燥や過乾燥は、胴割米や食味低下の原因になるので絶対に行わないようにしてください。

また、乾燥機に籾を張り込んだ直後は、1時間程度送風のみを行うと、籾水分のばらつきが少なくなるため、より適正な乾燥につながります。

なお、籾すりは、乾燥後、籾が十分に冷えてから行い、ライスグレーダーの網目は1.8mmとし、適正な流量で調製しましょう。

5 次年度の縞葉枯病対策は今から

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    稲刈りが終わった段階から、翌年度の水稲栽培がスタートします。稲わらや刈り株は大切な土づくり資材です。できるだけ、残った稲わら等を土に返しましょう。

    今年もヒメトビウンカが媒介する縞葉枯病の発生が、コシヒカリ・キヌヒカリ等の品種で確認されています。縞葉枯病に感染した刈り株から生じたひこばえをヒメトビウンカが吸汁することで、保毒虫が増加します。収穫後は早めに耕起を行い、ひこばえの発生を抑制し、ヒメトビウンカの保毒虫率の低下を図りましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。