クリの新品種 「ぽろたん」の栽培

クリの新品種 「ぽろたん」の栽培

 「ぽろたん」は9月上~中旬に収穫され、鬼皮に傷を入れて加熱することで渋皮が簡単にむける大粒で甘くおいしい新しい品種です。

◎ 「ぽろたん」の食べ方

「ぽろたん」は収穫直後に比べて-1℃で1か月貯蔵した後のほうが果実の甘みが増すとともに渋皮もむけ易くなります。ご家庭では冷蔵庫のチルドルームなどで貯蔵した後に食べることをお勧めします。

1 切れ目を入れる

201412-1(1)実を丸ごと使いたい場合は包丁などで側面に3/4程度果肉に達するくらいの切れ込みを入れます。
(2)家庭で利用する場合には、半分に切る方法をお勧めします。

2 むいた実をそのまま食べる

(1)予熱したオーブントースターに、半分に切った「ぽろたん」を並べます。一度に加熱する数は「ぽろたん」5個分が目安です。
(2)そのまま加熱する。加熱時間は600Wで12~15分が目安です。
(3)加熱した後、熱いうちにむけば実がぽろんとはずれます。冷めるとむけにくくなります。やけどに気を付けて熱いうちに皮をむいてください。

3 むいた実を調理する場合

(1)沸騰したお湯に、半分に切った「ぽろたん」を入れます。
(2)そのまま2~3分ゆでてください。
(3)お湯から取り出した後、温かいうちにむけば渋皮ごと皮が外れます。この状態ですと、むけた実は生(なま)に近い状態です。クリご飯やお菓子など、いろいろなクリ料理をお楽しみください。

◎ 受粉樹の導入

クリは一つの品種では果実ができないため、受粉樹の混植が必要となります。「ぽろたん」の特徴である渋皮剥皮性を活かすためには、ほかの品種と混ざらないことが重要となりますので、収穫時期が異なる晩生種の「美玖里」や果実の外観で判断できる「利平」などを受粉樹として導入することをお勧めします。

「国見」や「丹沢」は収穫時期も近く、果実の外観で「ぽろたん」と区別できないため、近くに植えないようにします。近隣にこれらの品種がある場合は混入しないような対策をとる必要があります。

◎ 「ぽろたん」の整枝剪定

1 変則主幹形整枝

植栽本数は40本/10a(5m×5m)とし、樹冠が拡大したら、間伐を行い、間伐後本数は20本/10aとします。

整枝法は、若木期の初期収量を高めるために、変則主幹形整枝とします。植栽2~3年後は主枝候補枝として、30cm~1m前後の高さから発生した新梢を数本育成します。4~5年後にはそれら主枝候補枝を徐々に絞り込み、その中から主枝を3~4本選んでいきます。同時にそれら主枝に日影を作るような枝を剪除します。

なお、「ぽろたん」はやや立性であるため、可能であれば植栽5~6年前後に主枝を誘引し、水平にすることで、早期の樹冠拡大と低樹高化を図ることができます。

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植えてから4年目までせん定時に結果母枝の先端部を1/5切り返すことによって、木の生育がよくなり、当年につく毬の数を多く確保できるだけでなく、次年の結果母枝の発生を多くすることができます。

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結果母枝の種類は、発育枝(前年に毬が着生していない枝)より前年結果枝の方が、雌花(毬)数が多く、大果になる傾向があります。

結果母枝として長さが25cm以上で、基部から5cmの径が7mm以上または先端部径4mm以上の前年結果枝を選びます。

結果母枝は、樹冠占有面積(木の広がっている面積)1㎡あたり4~6本程度の密度で残してせん定すると、毎年、大きな実を安定して生産できます。

翌年に優良な結果母枝候補枝(前年結果枝)を得るためには、剪定時に、長さ90㎝未満の発育枝を予備の枝として、1/4程度切り戻します。

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2 密植主幹形整枝

「ぽろたん」は直立性が強く主枝が開帳しにくいことを利用し、植栽本数は100本/10a(株間2.5m×畝間5m)の密植とし、主幹を直立させ、主幹から直接結果母枝を着生させる整枝方法で、植え付け3年目の早期から収量を多く上げることができる方法です。

枝の種類は主幹と予備枝(結果母枝となる枝)、結果母枝(1年生及び2年生)で構成することになり、主枝や亜主枝を配置しないため、果樹未経験者などでも簡単に剪定ができます。

植栽時に苗木の先端1/4程度を切り返し、新梢の伸長を促します。植栽1年後の剪定は新しく発生した枝の先端1/5程度を切り戻し、優良な結果母枝を育成します。

結果枝は2年間使用したら除去し、定芽及び切り口から発生した枝に更新します。

主幹の高さは250cm~300cm程度までとし、それ以上高くなりそうなときには先端付近の発育枝まで切り戻します。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。