農産物加工の計画から販売までのポイント~比企の農産物を活用した加工販売のすすめ~

農産物加工の計画から販売までのポイント~比企の農産物を活用した加工販売のすすめ~

管内にある20カ所の農産物直売所は、地元農産物を求める観光客や地元消費者で連日にぎわっています。なかでも、季節の農産物は新鮮さ・安全性・高品質を求める消費者に評判が高く、人気を高めています。また、消費者が地元農畜産物の加工品に「ふるさとの味」を求めて、売れ行きも伸びています。

加工品は、農家が自ら農産物に付加価値を付けて販売できることから収益性も高く、今後の農家の経営の一翼を担う部門として期待できます。ここでは農産物加工の計画から販売までのポイントを説明します。

農産物の加工販売は、食品衛生法、計量法、日本農林規格(JAS法)などの法律で規定されています。衛生面や内容物の表示等、それぞれの規定を充たすことが必要です。そのため保健所などの機関とよく相談しながら進めてください。

1 加工販売の目標の決定

売上金額の目標に合わせ、次の点を考慮して決定しましょう。

①加工品目
②経営形態(個人または共同)
③原料調達
④収益性
⑤労働力
⑥販売先

2 経営方針の決定

販売する加工品の特徴を出すため、こだわりを持った商品を企画しましょう。

①原料の産地(地元産の材料を中心に)
②味(ふるさとの味を基本に)
③添加物(使用しないか最低限に)

3 条件整備

衛生的・効率的に加工作業のできる場所を整えましょう。

①「食品衛生責任者」の資格取得(1施設1人以上)
②食品衛生法の基準に合致した加工施設の整備
(注)漬物製造業、菓子製造業、そうざい製造業など、加工する品目によって、それぞれ食品衛生法で定められた施設基準があります。業種ごとに食品衛生法に合致した施設が必要になります。1施設で複数の営業許可を兼ねることはできませんので、許認可をする保健所によく相談しながら進めましょう。
③営業許可の取得(保健所の指導を受けること)
④目標に適した規模の機械・器具の整備
⑤資金の確保

4 原料調達計画の作成

必要な原料を安定して調達できるように供給元を確保しましょう。

①ふるさとの味づくりのために地域農産物を使う。
②原料供給者との供給システムを円滑に保つ。
③こだわりの農産物を栽培する。

5 労働計画の樹立

無理なく続けるため、過重労働にならないよう配慮して労働計画を立てましょう。

①農作業労働や他の仕事との競合を避けるため、作業時間の組立てをする。
②共同経営者の場合は出役分担に配慮する。
③雇用する場合は労働基準法等に配慮する。

201411-1
川島町特産「いちじく」の米粉パン
  201411-2
比企地域の特産「のらぼう菜」を使った加工品
einou_11-04.jpg
鳩山町特産「黒大豆」を練りこんだうどん
(発芽大豆成分GABAの機能性を重視)
  201411-4
地域産物「ゆず」を利用したまんじゅう

6 加工技術の向上と新商品開発

加工技術の習得と向上に努力し、商品販売の安定化を図りましょう。

①製造直売ならではの特徴ある加工品の開発
②質・量ともに安定した商品の生産
③消費者ニーズの把握(試食アンケートの実施等)
④地域に伝わる「ふるさとの味」を商品化
⑤適正表示

7 経営管理の充実

経営簿記記帳をしっかりと行い、生産性と収益性の向上を図りましょう。

①作業計画表の作成
②出役分担表の調整
③コスト計算(加工原料と加工量・品目の価格を見直す)
④共同経営の場合は、全員で定期的に経営内容の検討
⑤必要に応じて法人化の検討

8 衛生管理の徹底

安全な加工品を自信を持って提供するため、衛生管理のチェックを励行しましょう。

①加工従事者(身支度・健康状態等)・加工施設の自主管理チェック
②加工原料の受け入れ品のチェック
③施設・製品の温度管理
④製造・数量の管理
⑤加工品台帳の整備

以上、農産物加工の計画から販売までのポイントについて記述しましたが、詳細については、農林振興センターにお尋ねください。

昨年12月「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、昔から伝わる「ふるさとの味」も今まで以上に注目されています。
ぜひ、比企地域ならではの加工品作りに取り組んでみましょう。

一覧へ

【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。