地場産の大豆と米でおいしい味噌づくり
地場産の大豆と米でおいしい味噌づくり
東松山地区では、県内でも早い時期から味噌づくりの設備が整備され、転作大豆を使った味噌づくりが盛んでした。「味噌づくり」は「仲間づくり」といわれ、「味噌づくりの輪」は急速に広がり、近隣市町村にも味噌の施設が整備されてきました。何年も何十年も作っているベテランの方も多いと思いますが、ここで基本に戻り確認してみましょう。今回は特においしい味噌づくりの鍵となる「麹づくりのポイント」を中心に説明します。
1 おいしい味噌とは
一般的に味噌の品評会では、香り、味、物性(適度な堅さ)、色の4項目について評価をし、それらが優れているものが、おいしい味噌とされています。香りの優れているものは、熟成も大変良好です。味噌らしくない香り(納豆臭、漬け物臭、カビ臭、焦げ臭など)のものは評価が低くなります。
おいしい味噌づくりのポイントとして、麹作りと熟成管理があげられます。
2 麹作りを成功させるには
色が白く、栗を焼くときのような爽快な香りで、菌糸がよく揃い、ふっくらした弾力があり、手でもみほぐすとバラバラになるものが、良い麹とされています。温度管理と雑菌の混入防止がポイントとなります。
図 製麹時間と温度管理の概略
(種付け)
蒸した米に麹菌を植え付ける作業です。温度が30℃以下にならないように素早く行います。
- 30~40℃の範囲内で行います。低すぎると麹菌が繁殖しないし、高すぎると菌が死んでしまいます。
- 麹菌は均一に混ぜます。手で米の塊をほぐしながら、蒸し米の一粒一粒に種麹の胞子を付けるつもりでよく揉みます。ハゼ落ちした米(麹菌が付着しなかった部分)は雑菌が生育しやすいので注意しましょう。
- 機械や道具の洗浄、乾燥をきちんとして雑菌の混入を防ぎます。特に蒸し米に触れる布類は蒸気殺菌するとよいでしょう。
(切返し)
種付け後12~14時間経過したら、固まった米をほぐし空気に触れさせる作業を行います。
麹菌は種付け後3~4時間で発芽を始め、8~10時間で発熱してきます。この間は麹原料が30℃以下にならないよう十分注意が必要です。種付け後18時間くらい経過すると、急激に発熱するため、温度上昇を防ぐためと、麹原料の塊をよくほぐし、ハゼ落ち(麹菌が均一に繁殖しないこと)をなくします。ハゼ落ちは雑菌が生育しやすいので注意しましょう。
(手入れ)
種付け後30時間前後に、品温の上昇を防ぎ均一な麹をつくるため、麹をほぐし、上下の温度差をなくすため混ぜ合わせます。品温は40℃を超えないように注意します。
(出麹)
引き込み後40時間くらいで出麹とします。広げて放冷したのち、その日のうちに(新しいほど麹に力がある)味噌に仕込みます。すぐに仕込めない場合は、塩切り麹にして2日以内に仕込んで下さい。
3 熟成を順調にすすませるために
- 仕込む際は、食塩のバラつきがないようによく混合して下さい。
- 切り返し(天地返し)は7月上旬に、発酵の均一化と酵母の増殖促進を目的に酸素の供給を行います。
- 産膜酵母(味噌の表面にできる膜)を生育させないように注意しましょう。出たら取り除き味噌に混ぜ込まないでください。対策として、空気と遮断するため味噌表面に厚めのビニールシートを密着させます。
- 良くできた味噌を「種味噌」として仕込み時に混ぜ込み、一緒に熟成させると、良い香りの味噌ができます。
4 味噌の色を悪くしないために
空気(酸素)に触れさせないことが前提ですが切り返しは例外です。
- 仕込み時に空気が混ざらないようにします。
- 適度な重石をします。(全重量の20~30%)
- 酸素透過性の少ない包装材を使用しましょう。
今年は猛暑だったので、味噌の熟成も早くすすみ、いつもより早い蔵出しができたのではないでしょうか。今年の味噌の出来はいかがでしたか?
もうじき味噌の仕込みの時期になります。基本の作業を忠実に行なうとともに衛生管理に配慮し、これからも地場産の大豆と米を活用した、おいしい味噌づくりに取り組みましょう。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。