秋の味覚を堪能する農産物活用技術 ~サツマイモ・サトイモの伝承料理技術~

秋の味覚を堪能する農産物活用技術 ~サツマイモ・サトイモの伝承料理技術~

今年は平成22年の高気温と同様に暑い夏でしたが、栗やサツマイモを始めとして、秋は様々な農産物が収穫となります。
そこで、是非一手間加えて保存食としたり、加工品として農産物の有効活用を図りましょう。
代表的な品目について、県内各地に伝わる次世代に伝えたいふるさとの味を紹介します。(原文のまま引用)

1 サツマイモ

サツマイモといえばベニアズマといわれるくらい有名な品種がありますが、最近は果肉色が白色(太白)やオレンジ色(サニーレッド、あやこまち)、紫色(パープルスイートロード、アヤムラサキ、種子島紫)などの品種も作られています。また、糖度の高い甘い品種として安納芋やべにはるか、ひめあやかなどもサツマイモ産地でブランド化して生産しているものもあります。それぞれの品種の特性を活かして焼き芋や蒸かし芋だけでなく、干しいもやペーストに加工して長期保存できるようにしてみてはいかがでしょうか。

(1)甘藷団子
  (次代に伝えたい川越地方の味 平成2年3月より)

材料

甘藷粉(芋粉) …… 1.2kg
生甘藷(サツマイモ) …… 1本
ぬるま湯 …… 600cc

作り方
  1. 生甘藷(サツマイモ)を洗い、厚さ3~5ミリくらいの薄さに切り、天日等で乾燥させる。からからに乾いたら細かくくだき粉にする。
  2. 粉にしたら、ぬるま湯で耳たぶくらいに柔らかくこねる。よく練ったら少しずつちぎり、手の中で握る。
  3. 生甘藷(サツマイモ)の皮をむき、7ミリくらいの厚さに切り、餡のかわりにし、ぬるま湯で練った甘藷粉(芋粉)でまんじゅうを作る。
  4. セイロにふきんを敷き、蒸す。

(2)いもようかん
  (さいたまの味 昭和53年3月より)

寒天などを使わないでつくるいなかのようかん。いもぎらいな人にも不思議と喜ばれるんです。

材料

さつまいも …… 500g
砂糖 …… 250g
くちなしの実

作り方
  1. サツマイモの皮を厚めにむき、15分くらい水にさらして、アクを抜きます。
  2. いもにたっぷりの水を加え、くちなしも実を割ってガーゼにつつんで入れ、柔らかくゆでたら、熱いうちに裏ごしします。
  3. いもに砂糖を加え、中火から弱火で、砂糖を入れる前のかたさに練りあげます。
  4. 熱いうちに流し箱にきちんとつめ、あらねつが取れたら冷蔵庫で冷やし、十分かたまったところで適当な大きさに切り分けます。

(3)さつまの切り干し
  (ふるさとの生活を伝える 皆野町ふるさとの技術伝承推進委員会 昭和58年3月より)

昔は子どものおやつとして無くてはならないものでした。お茶うけにもなり、ときにはお みやげになります。

材料

さつまいも … 多めのほうがやりよい
仕上がりは1/4くらい

作り方
  1. 12月になったら、さつまいもを洗ってふかし、熱いうちに皮をむきます。
  2. 半日ぐらい干して乱切りにします。
  3. 天気によって違いますが、晴れの日ならば3~4日、曇っていると5~6日ぐらい、一枚並べにして干します。かきまわしていもの角が手にあたるようになったら缶に入れます。
  4. それから3~4日ぐらい缶から出し入れをします。夜缶に入れておくと湿り気がきます。それを日中取り出して日に当てます。まだ日のある暖かいうちに缶にしまいます。
  5. さつまいもに白い粉がのりはじめたら、そのまま缶に入れて寝せこみます。
  6. 干しはじめてから15日ぐらいで真白な粉ののったきりぼしができます。
    ※日数は天候に左右されます。また、(3)(4)の段階がきりぼし作りの急所です。

2 サトイモ

今夏は、異常高温で降雨が少なく、サトイモの生育が不良なところが見受けられますが、保水力のあるほ場や灌水を行ったほ場ではほぼ順調に生育しているようです。土垂が一般的に多く作られていますが、直売所では筍芋や八ッ頭など肉質や食感の様々なものが並んでいます。
最近は、埼玉県で選抜育種した丸系八ッ頭が作られ始め、食味の良さ、調整のし易さ、調理のし易さから作付けが徐々に増えています。

(1)いもねりっこのぼたもち
  (さいたまの味 昭和53年3月より)

11月10日のとうかんやの祭りのご馳走です。貴重な米を節約しようという農民気質が、サトイモをあんこにするアイデアを生み出したのではないでしょうか。今でも、新しく収穫した米とサトイモを通して、秋のみのりへの感謝を込めて作っています。もち米だけのぼたもちより、おなかにもたれないと好評です。

材料

あん サトイモ …… 500g
砂糖 …… 大さじ3
もち米 …… カップ2
しょうゆ …… 大さじ2
だし …… カップ1/2
きな粉 …… カップ1/2

作り方
  1. サトイモをさいの目に切り、砂糖・しょうゆで甘からく煮ます。
  2. もち米は、もち米と同じように炊きます。
  3. サトイモを10ヶに分けて、これをあんにしてぼたもちをつくり、きな粉をまぶしつけます。

(2)さといもコロッケ
  (次代に伝えたい川越地方の味 平成2年3月より)

材料

サトイモ …… 1kg
合挽肉 …… 150g
玉ねぎ …… 中1個
小麦粉 …… 大さじ1
カレー粉 …… 大さじ1
塩 …… 少々
こしょう …… 少々
サラダ油 …… 適量
しょう油 …… 大さじ5
小麦粉
卵     適量
パン粉
揚げ油

作り方
  1. サトイモは皮をむいてやわらかく茹でた後、軽くつぶす。
  2. 挽肉、みじん切りの玉ねぎをサラダ油で軽く炒め、小麦粉、カレー粉をまぶし、塩、こしょうをする。(カレーミンチ)
  3. (1)の里いもをぬれ布巾にとり、のばしてカレーミンチを入れて、包み込むように形を整える。
  4. (3)をしょう油、小麦粉、とき卵、パン粉の順につける。
  5. 中温の油で、表面がきつね色になるまで揚げる。

通常、サトイモは子いも・孫いもを食しています。サトイモの親いもは煮ても堅く、えぐみのあることからほ場に放置されていましたが、川越農林振興センターでは未利用資源の有効活用の観点から、加工原料としての利用を食品加工会社に商品開発を推進し「さといもコロッケ」が商品化されました。これにより親芋の加工原料としての流通が確立しました。
サトイモの親芋を原料とした加工にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
なお、親芋を食す品種(八頭、筍芋、セレベス等)もあります。食べ比べてはいかがでしょうか。

(3)八ッ頭子いものゆずみそあえ
  (さいたまの味第2集 昭和54年3月より)

子いもはいちいち皮をむいて煮物にするには手間がかかるが、ゆでてから皮をむくと手早くできます。特産のゆずを使ったみそ味は昔ながらのなつかしい味で、若い人たちにも好評です。

材料

八ッ頭子いも …… 1kg
ゆずみそ みそ …… 200g
ゆず(大) …… 1/2ケ
すりごま …… 大さじ2
砂糖 …… 70g
酢 …… 大さじ2

作り方
  1. 子いもは、よく洗って皮つきのまま、やわらかくゆでます。
  2. ゆずの皮をうすくむき、細かくきざみます。
  3. すり鉢に、みそ、ゆず、すりごま、砂糖を入れて、酢を少しずつ加えながら、よくすり込みます。
  4. ゆでた子いもの皮をむき、5~6ヶずつ金ぐしにさして、ゆずみそをつけて卓上コンロに網をおき、焼きながら食べます。(最初さっと台所で焼き、また卓上で焼いて食べてもおいしい。)

3 ペースト加工

カボチャやサツマイモ、クリなどは市場出荷や直売所出荷できない規格外品を活用しペーストやダイス、粉末加工し長期保存できるよう一次加工しておくと和菓子や洋菓子などのスイーツに年間を通じて使うことができます。
ペースト加工の手順は、洗浄、皮むき、蒸し、裏ごし、糖添加、袋詰め、冷凍です。サツマイモは貯蔵期間によって果肉の糖含量が変化し、ペーストの出来上がり(硬さや色)が変わってきます。貯蔵したサツマイモでは軟らかく色が暗化しますので、堅めで色鮮やかに仕上げたい場合は収穫後すぐに加工するとよいでしょう。なお貯蔵イモのペーストは糖度が上がります。また、焼き芋をペーストにすると焼き芋の香りが残り、糖度の高いペーストができます。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。