秋冬野菜の栽培

秋冬野菜の栽培

秋冬野菜のは種時期が近くなってきました。ほ場準備を早めに行い、良品生産に努めましょう。

1 病害を防ぐために

(1)連作は避けましょう

土壌病害が発生したほ場では土壌消毒を実施するか、その病害に感受性がある野菜や同科の野菜の作付けを5~6年間避けましょう。
水はけが悪いと、初期の生育不良や土壌病害の発生を助長します。あらかじめほ場の外周に溝を切ったり、高うねを作って湿害対策をしておきましょう。

【表1】土壌病害の例
前作の発生病 病気の特徴 後作では避けた方がよい作物
アブラナ科根こぶ病 根に大きなコブができる アブラナ科作物(はくさい、ブロッコリー、きゃべつ等)
ネギ黒腐菌核病 地際が腐り、黒い小粒がつく ユリ科作物(ニンニク、ニラ、ラッキョウ等)
トマト根腐エキ病 株がしおれた後枯れる
茎の中が褐変している
トマト、スイカ、ホウレンソウ
トマト青枯病 日中萎れ、曇りの日や夜間には一時的に回復しますが、病勢の進展が早く、やがて回復しなくなり枯死します トマト、ナス、ピーマン等のナス科等
ジャガイモのそうか イモの表面に、大小さまざまな盛り上がった淡褐色のかさぶた状の病斑ができる ジャガイモ等

うねをつくってビニールをかける

  1. うねをつくってビニールをかける
  2. 1ヶ月後、ビニールを剥がしてうねを崩さないで作物をは種又は定植します。

(2)夏期にできる「太陽熱土壌消毒」について

盛夏期に空いているほ場では、早めに土作り資材を投入し、基肥を施してうねをつくりましょう。うねができた後、土に湿気がある状態でビニールシートを敷いて1ヶ月程度おいておくと、太陽熱土壌消毒ができて病害虫の発生を軽減できます。
また、ホウレンソウの苗立枯病などの場合は、病原菌が地表の近くにいるために、短期間の太陽熱土壌消毒でも効果が期待できます。
太陽熱土壌消毒の後は、耕うんせずにそのままは種・定植を行います。

【参考】

消毒効果は地温に影響をうけますが、キュウリつる割病、ナス半身萎ちょう病、トマト青枯病、ホウレンソウ立枯病、ネコブセンチュウなどに有効とされています。

2 土づくりについて

(1)石灰質資材の使用について

作物によって、生育に適した土壌酸度に違いがあります。ホウレンソウやエンドウは酸性土壌を嫌うため、作付けの前に、苦土石灰等の石灰質資材を使用して作物に適した土壌を作りましょう。
基本的には、何年も石灰を投入していない畑では石灰質資材を投入して、土壌が酸性にかたよらないように注意しましょう。一方、作期の短い作物を栽培するたびに石灰を投入しているようなほ場では、土壌がアルカリ性にかたよっていることがあるので石灰質資材の投入を控えてみましょう。
なお、肥料は石灰施投入後1週間ほど間隔をあけて施すようにし、同時施用はしないでください。

(2)有機物の施用について

土づくりのため、よく熟した有機物を施しておきましょう。たい肥の過剰施用や、未熟な有機物の投入は、病害虫の発生を助長します。

〈有機物の種類に応じた利用方法〉
  1. 木質たい肥
    分解しにくく、未熟な物を大量に投入すると作物の窒素不足を引き起こしたり、病虫害の発生を助長します。石灰窒素と混合して積み置きし、腐熟を促進してから使うようにしましょう。
  2. 牛糞たい肥
    肥料成分が比較的少なく、繊維質が多いので土壌の物理性改善に役立ちます。
  3. 乾燥鶏糞や発酵鶏糞
    窒素成分が多く含まれているので、大量に施用すると肥焼けをおこします。一度に大量施用することは避け、肥料の量を減らすようにしましょう。

3 ほ場準備と定植について

(1)石灰とたい肥の施用

作付け2週間以上前に、熟したたい肥を1a当たりバケツ5杯程度、消石灰を5kg程度を施して土作りを行います。

(2)施肥

肥料の過不足は病気の発生を助長するので、適切な量を施すようにしましょう。
ほ場に投入する肥料の量は、次の計算式で求めることができます。

施肥計算式2

(3)植え付け準備

基肥を施し、うねをつくります。うねは10cm程度の高さにしましょう。
マルチを使用する場合は、定植3日前にはマルチを張って地温を確保しておきます。

(4)品種を選んで適期作業をしましょう

栽培時期によって適する品種が異なります。病害や結球不良、とう立ち等を防ぐためには、栽培時期に適した品種を選び、は種適期を守って栽培します。

(5)苗の選び方

ポイントは、[1]茎が太い、[2]節間が詰まっている、[3]下葉の黄変がない苗を選びましょう。
なお、キャベツやブロッコリーなどは本葉3~5枚程度が定植適期です。

(6)定植

初期生育に大きく影響するため、苗が老化しないように適期に定植しましょう。生育初期に冬の寒さに当たると収量に影響するため、遅れないように作業しましょう。定植後は、充分に灌水します。

(7)害虫対策

害虫による被害は、葉や茎への食害が一般的です。しかし、その他にも傷口からの病原菌感染や、害虫が媒介するウイルス病に感染して、春になってから生育不良になるなどがあります。
このような被害を防ぐために、は種前または、は種時に殺虫剤(粒剤)を土壌混和するか、定植時に植え穴処理するなどしましょう。さらに、防虫ネットなどの資材を用いて被覆すると害虫の侵入防止に効果的です。

※ 薬剤防除について

生育初期の病害虫被害は、その後の成長や収量に大きく影響します。予防や初期防除に努めましょう。農薬の使用に当たっては作物への登録の有無や使用方法を必ず確認し、正しく使いましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。