ブドウ・キウイフルーツの冬期剪定
ブドウ・キウイフルーツの冬期剪定
庭先や畑の一部で、ブドウやキウイフルーツの小さな棚を見かけます。夏場に枝葉が生い茂っている場合も多々あります。日除けとしてはいいのですが、収穫が期待できないケースが多いようです。
どちらの樹種も蔓性で、本来なら1樹あたり150~200m² 必要なのに、狭い面積に押し込めようとするから繁茂してしまうのです。見た目がすっきりして、果実も収穫出来る方法はないのでしょうか。
1 結果習性
ブドウもキウイフルーツ(以後「キウイ」)も、発芽して伸びた新梢の葉の付け根に花または花穂を着けます。ブドウは、ほとんど全ての芽に花穂を着けますが、キウイは前年の果実着生位置より先端の芽にしか花を着けません。従って、剪定の際にはブドウでは1~2芽を残して切っても(短梢剪定)着果が可能ですが、キウイを着果させるには、前年の結果部位より先の芽を残す必要があります。
また、ブドウは自家受精しますが、キウイは雌雄異株で、雌花を着け結実する雌品種と、雄花を着け結実しない雄品種があります。このため、雄品種を傍に植えておくか、人工授粉をする必要があります。
2 結果母枝の選び方
今年の夏期に伸び、来年発芽し着果する芽を持った枝を「結果母枝」と呼びます。充実した結果母枝は、貯蔵養分を十分蓄え、次年度しっかりした芽を伸ばします。日当たりの良いところで中庸に伸びた芽の大きい(キウイは瘤のようになっている)枝を選びましょう。こうした枝は、概して白っぽく見えるものです。充実不良の枝は赤茶けていたり、病気に冒された枝は黒くなったりしており、冬の間に枯死したり、来春になっても芽が吹かない恐れがあります。
3 結果母枝の長さと配置
発芽する割合が7~8割として、1m² あたり10芽程度あれば充分です。樹の先端部の結果母枝は、比較的長め(5~8芽、キウイでは着果部位より先の芽数)に、それより元の結果母枝は短め(2~3芽、キウイでは着果部位より先の芽数)に切り、それぞれの結果母枝の間隔が30~50cm程度となるようにします。結果母枝は、棚の端から1m程度は空け、来年伸びる余地を作っておきます。棚の広さに応じて、このような枝群をいくつか作り、それぞれの枝群は2m程度の間隔をとって配置します。【図1】【図2】参照
それ以外の枝は、太くても切り落としてしまいます。
配置が決まったら、枝が動かないように、紙ひも又は麻ひもで縛って棚に留めておきましょう。
なお、枝を切った後の切り口を保護するために、直径2cm程度以上の切り口には「ゆ合剤」等を塗っておきましょう。
【図1】棚上の枝の配置例:ブドウ(上から見たところ)
【図2】棚上の枝の配置例:キウイフルーツ(上から見たところ)
4 春夏期の管理
剪定によって芽の数を減らすと新梢の勢いが強くなり、ブドウの4倍体品種(巨峰などの大粒系)では、「花流れ」又は「花振るい」といって、花は咲いても粒が実らなくなるか、実っても種の無い小粒になってしまいます。これを大きく実らせるには、「ジベレリン水溶剤」の浸漬処理が必要となります。この、いわゆる「ジベレリン処理」は、市販されている種なしブドウのほとんどに行われているものですが、花穂の切詰めや摘房・整房を適切に行う必要がありますので、事前に東松山農林振興センターに御相談ください。(注意書に関係機関の指導を受けることが推奨されています)
ブドウは、開花後も枝がどんどん伸びますが、必要なのは房から先の葉8枚程度までです。それ以上の長さに伸び、棚から垂れ下がったり、枝どうしが重なったりした部分、また、実っていない枝は元から切除しましょう。
キウイも同様ですが、「不定芽」といって太い古枝から太い徒長枝が伸び出しやすいものです。これも元から切除しましょう。また、雄品種が大きくなりすぎないように、冬期の剪定に加えて、開花期が終わったら思い切って剪定しましょう。
※本文中の登録情報は平成22年11月10日現在のものです。農薬を使用する際には、説明書等をよく読み、適正に使用してください。
【注釈】
掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。
- 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
- 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
- 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。