比企地域のふるさとの味を見直してみましょう

比企地域のふるさとの味を見直してみましょう

比企地域には昔からふるさとの味といわれる、多くの伝承料理があります。
ふるさと料理には、その時期に収穫できる農産物を使って、主に日常的に食べられていた主食やおやつと、年間行われる行事の時に食べられていた料理とがあります。
昭和50年代に発刊された「さいたまの味」、「さいたまの味」第2集、「伝えたい比企の味」のなかから、比企地域の伝統食を、当時の原文のまま御紹介します。

1 ひぼかわ(ひもかわ) 「さいたまの味」昭和53年2月発刊

都幾川村は山村で、米は貴重品でした。畑でとれる小麦を常食にし、毎晩のように、うどん特にひぼかわを食べました。野菜をたくさん入れるので、粉が節約できるからです。
すっかり食生活が変わった今でも、私たちの生活の中にちゃんと生きており「今夜はひぼかわが出来たよ」と近所や友達からよばれることが度々あります。
ひぼかわは昔のように大きな鉄鍋で、いろりに火をもし、大量につくったものほどおいしく、家族数が少なくなって、本ものの味が、なかなか味わえなくなりました。
わざと、残るほど沢山つくって、翌朝あたためていただきますが、ひぼかわに味がしみて、いっそうおいしくなります。

材料 4人分

うどん地粉400g、塩大さじ1、水
おつゆねぎ200g、じゃがいも200g、大根300g
しめじ200g、油大さじ3、水カップ5、しょうゆカップ1/2

作り方

  1. ひもかわうどんを作ります。普通のうどんよりうすくのばし、2センチくらいの巾に切ります。
  2. 季節の野菜をきざみ、油で炒めて、水又は出し汁を入れ、煮たったら生のひもかわを入れて煮こみます。
  3. ひもかわがやわらかくなったら、しょうゆで味をつけて、できあがりです。
    とろっとした出来上りは、寒い夜など、身も心も、真からあたためてくれます。

季節の野菜

冬はだいこん、ねぎ、はくさい、じゃがいも、夏はなす、さやいんげん、玉ねぎなど、特に秋、山でとれるきのこ(ねずみたけ、4本、ちたけ、一本シメジ、さくらっこなど)を使ったものは最高の味です。

2 かてめし 「さいたまの味」第2集昭和54年3月発刊

新ごぼうができたから、いんげんが取れたからと季節の野菜を入れては村中よく作る食事です。又、人寄せ(おひまち、おしらこう、祝ごと)料理でもあります。

材 料 4人分

米カップ4、油大さじ1、酒大さじ1
にんじん100g、ごぼう100g、油揚30g、いもがら30g
しいたけ30g、こんにゃく100g、いんげん50g
砂糖大さじ1、塩小さじ1/2、しょうゆ大さじ1/2
調味酢(酢 カップ1/2、砂糖 大さじ2、塩 小さじ1/2)

作り方

  1. 米は油、酒を入れて、照りがでるように炊きます。
  2. いもがらは水に20分位つけてもどします(つけすぎると味がおちる)
  3. 野菜はごぼう、にんじんはささがきにし、ごぼうは酢を2~3滴たらした水に10分つけアクをぬきます。その他のものは細くきざみ、砂糖、しょうゆと塩少々を入れて煮て味つけをします。
  4. 酢と砂糖、塩を火にかけてよくとかし調味酢を作ります。
  5. 炊きあがったごはんは飯台に移し、調味酢を入れて、切るようにまぜ、次に具を入れて、又、よく切るように合わせます。
  6. 器に盛り、しょうが漬け、いんげんの青くゆでたもの、又、うす焼き卵のセン切りや、のりなどを上に飾りつけます。

3 大師粥 「さいたまの味」第2集昭和54年3月発刊

私達の地方では、昔、大師様をお祭りする行事が各家庭で行われました。秋のとり入れも終わり、木枯の吹く12月の4日、14日、24日には大師粥を炊いて祝います。
又、正月の15日にも、同じような小豆がゆを作り神棚に供え、家族の健康と豊かなみのりを祈願します。
冷え切った体もあたたまり、とてもおいしいごちそうです。

材料 4人分

白米600g、小豆120g、塩小さじ1、水カップ10
上新粉カップ2

作り方

  1. 小豆を米の約4倍の水で、やや固めに煮ます。その時煮えたら、塩を加えます。
  2. 上新粉を小豆の沸騰した湯でこね、米俵の形にだんごをこしらえます。
  3. 米は、30分前に洗い上げ、小豆と合わせて炊きます。この時、水が少ない時はたし、塩加減は好みによって増減します。煮えたったら、だんごを入れて、炊き上げ、10分位蒸らします。

4 すまんじゅう(高坂饅頭) 「伝えたい比企の味」昭和59年4月発刊

高坂すまんじゅうは江戸時代中期以前の高坂の宿に伝わり受け継がれてきたまんじゅうです。
祭りの前日には親戚知人に配られ、またそれを心待ちしていることは今も昔も変わりません。何ともいえぬ、すの香りは夏の香りをいっぱいにとどめているのです。

材料

小麦粉600g、あん700g、モチ米カップ1
こうじカップ1、去年のすのもとカップ1/4、手粉200g

作り方

  1. 作る3日前、丼に去年のすのもととこうじと水1カップ弱でひたす。一昼夜たつとぶつぶつ発酵してくる。
  2. 作る前日の朝モチ米に水をたっぷり入れておかゆにする。おかゆが人肌程度にさめてから塩気のない容器に[1.]と残りのこうじ、おかゆを入れる。温度が20度以上だと4~5時間で中身が浮きあがりサァサァと音がする。
  3. 夜[2.]をこし、小麦粉を耳たぶ位にこね、一晩ねかせるとふがでて柔らかくなる。
  4. あんを30~40コに丸めておく。
  5. 朝[3.]を手粉をふった板の上に取り出し、粉を足しながらよくでっちる。(でっちる=練る)30~40コにちぎってあんを入れて丸める。くっつかないように粉をひいた板の上に間隔をおいて並べる。1時間位たつとまんじゅうの上がなめらかになる。蒸し器にぬれ布巾をしき、間隔をおいて並べ上から水をかけて強火で15~20分蒸す。
  6. 蒸し器をおろし、うちわであおぐと光が出る。くっつかないように一つづつていねいに出す。(高坂では大量に作るので角セイロ2段で50個蒸す。ござにささの葉、みょうがの葉等を敷きその上にあげる。)

紹介したふるさとの味は、現代の嗜好に合わせて、JA各地区農産物直売所で、地元の新鮮な農産物をふんだんに使ってふるさと料理として販売しているものもあります。
家庭により少しづつ作り方や味が違いますが、なつかしいその味は心も和ませるとともに、季節や文化を味わうことができます。次世代につなげていきたい味としてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
各市町村ごとに埼玉県知事から認定を受けた「ふるさとの味伝承士」が、小中学校生や地域住民にふるさと料理の作り方を教えています。
また、多くの伝承料理のことを知りたい方は、インターネットで「東松山農林振興センター」と入力し、検索してみて下さい。(「農産物・イベント情報等」の「食べる」の「比企のふるさと料理」に掲載)

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。