失敗しない!果樹苗木の植え方

失敗しない!果樹苗木の植え方

1 植付時期

ナシ、ブドウ、クリなどの落葉果樹は、落葉後の秋植と萌芽前の春植があります。冬期間、十分な管理ができる場合を除いて、寒害や乾害を避けるため、3月中旬の春植が無難と思われます。寒さに弱い常緑果樹では、もっと暖かくなる4月が良いでしょう。

2 苗木の仮植

苗木は、11月から12月上旬ぐらいまでに購入しておいた方が、良いものが手に入るようです。購入した苗木は、一晩、根部を水に浸して十分吸水させてから仮植します。仮植は、風当たりが少なく暖かい、水はけの良い場所に行います。仮植の方法は、斜めに寝かした苗木の3分の1ぐらいが隠れる程度の溝を本数に応じた長さ掘り、苗木を1本ずつ斜めに並べ、細土をまんべんなくかけ、さらにムシロ等で防寒しておきます。複数品種ある場合には、耐水性のラベルを付けておきましょう。

【図1】仮植床模式図

仮植床模式図

3 植穴の準備

植穴は、肥料等をなじませるため、定植予定の2か月程前までに準備しておきます。苗木1本につき、直径80~100cm、深さ50~60cm位の穴を掘ることになりますので、多い場合には、バックホーを利用すると良いでしょう。植穴を掘る際、深さ20cm位までの表土と、それ以下の心土とに分けておき、心土には消石灰、ようリン各1kgと完熟堆肥(チップ等の木質分が判明できるようだと白紋羽病菌を助長する)10kgをよく混和して埋め戻し、鎮圧後、表土を盛り上がるように戻しておきます。

【図2】植穴の準備

植穴の準備

4 苗木の植付

苗木の植付は、暖かく穏やかな日に行います。仮植床から掘り上げた苗木は、ムシロ等で包み、乾かさないように運びましょう。準備しておいた植穴中央部の盛り上げた土を少し掘り、苗木の根が放射状に拡がるように据え、隙間のできないように丁寧に土を戻し、たっぷり灌水します。この際、根の太い部分の切り口が鋸状となっていたら、その部分を切って滑らかにしたり、くせがあって拡がらない根は切り詰めておきます。
苗木を切り詰める長さは、樹種や仕立て方によって変わりますが、地上50cm~1mのしっかりとした芽の上で切り、切り口には「ゆ合剤」を塗ります。
植付が終了したら、支柱を立て、ヒモで括っておきますが、ずれないように支柱にはきつく、苗には太って食い込まないように余裕をとることが大切です。また、苗木に接木テープが巻かれている場合には、取りはずしておきましょう。
受粉樹等、複数品種ある場合には、植える位置に留意し、品種がわかるようにしておきましょう。

【図3】植付け方

植付け方

5 植付後の管理

植付のポイントは、なるべく高い位置に植え、深植えしないことですが、反面、乾燥もしやすいので、半年ぐらいの間は、干天が続いたら灌水してやりましょう。雑草防止を兼ねた敷きわら等も有効です。肥料は、植付時には施用せず、芽が伸びた後、株元から離れた位置に少量ずつ施しましょう。病害虫の発生にも注意し、初期防除に努めましょう。

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【注釈】

掲載している農薬の使い方(農薬使用基準)は、農林水産省が公開している記事掲載時点での農薬登録情報等と基に作成しました。
農薬使用の際は、下記に注意してください。

  • 登録内容に変更がないか、必ず最新情報を確認する。
  • 使用の際は、ラベルの注意事項を必ず確認し、適切に使用する。
  • 農薬使用基準は、農薬取締法に基づき、作物ごとに該当する農薬の使用方法、使用時期、回数などについて使用者が守るべき基準です。
    また、同一成分を含有する農薬を併用する場合は、成分の総使用回数に従う。